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イラン禁輸解除 国際社会が一致して包囲網を

 中東情勢の不安定要因として名指しされてきたイランの封じ込めにはどうすべきか、国際社会が一致して考えるべき時だ。

米国は独自制裁を表明

 2015年の核合意によるイランへの武器禁輸が、合意の規定に基づき解除された。禁輸は、戦車、戦闘機、ミサイルなどの兵器の供与や売却、移転の禁止を決めたものだが、核合意発効後5年で解除されることになっていた。

 米国はこれに強く反発。禁輸解除は認めないとした上で、イランとの取引に対して独自に制裁を科すことを表明している。

 核合意は、国連安保理5常任理事国にドイツの6カ国とイランが交わしたもの。イランの核開発制限、武器禁輸などの代わりに、欧米が科していた経済制裁を解除した。ところが、トランプ米政権は「欠陥合意」として18年に離脱。独自にイランへの経済制裁を再開し、「最大限の圧力」を掛けてきた。

 米国を除く5カ国は、核合意をあくまでも継続する意向で、英仏独と米国との関係悪化の主要要因となっている。欧米の分断は、イランを利することはあっても、イランに核開発を放棄させる要因にはならない。中東のアラブ諸国、米国の同盟国イスラエルにとっても、イランは脅威であり、欧米の一致した対応が不可欠だ。

 米国の経済制裁に他国は事実上、従わざるを得ず、イランと取引のあった欧州の大手企業は、米国の制裁を恐れ、次々とイランから撤収。石油の禁輸も相まって、イラン経済は困窮を極めている。

 一方、イランはイスラム教シーア派の住民が多い周辺各国で影響力を確保してきた。民主化運動「アラブの春」で動揺したイエメンで、シーア派の「フーシ派」を支援。隣国イラク、内戦中のシリアに多数の民兵を送り込んでいる。イランの支援を受けるレバノンの武装組織ヒズボラは、軍事力では国軍をもしのぎ、政界でも大きな影響力を維持している。

 イランと中国の接近も気掛かりだ。今年に入り、両国が25年間の経済、軍事に至る包括的秘密合意を模索していることが明らかになった。また、北朝鮮が武器、技術をイランに供与する可能性も指摘されている。エネルギー専門ニュースサイト「オイルプライス」は「これはすべて、中国がコーディネートした広範囲な3カ国関係の一環」と指摘。25年合意の軍事部門は、イランへの禁輸解除を受けて11月にも始動する予定という。

 イラン経済は困窮しており、急速な武力強化は今のところ予測されていない。しかし「3カ国」の連携は日本の安全保障にも影響を及ぼさざるを得ない。

 独自のパイプで貢献を

 イランへの武器禁輸解除について、加藤勝信官房長官は「防衛装備移転三原則」に基づいて「厳格に対応していく」と述べた上で「米国との同盟関係、イランとの伝統的友好関係を生かし、緊張緩和と情勢安定化に向けた外交努力を継続したい」と語った。

 国際社会の対応にほころびが見える中、日本としては独自のパイプを生かし、貢献できる道があるはずだ。

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