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インド政権交代、宗教対立の克服を目指せ

 インド総選挙で右派野党インド人民党(BJP)が単独で過半数を制し、BJPのナレンドラ・モディ氏が首相に就任することとなった。

 州首相として高い経済成長を実現した政治手腕に期待が高まる一方、ヒンズー至上主義組織と密接な関わりを持つモディ氏への少数派イスラム教徒の不安は根強い。モディ氏には宗教対立克服に向けた取り組みを期待したい。

 総選挙で人民党が過半数

 インドでの政権交代は10年ぶりだ。BJPは282議席を獲得し、単独で過半数を制した。BJP圧勝の背景には、近年の景気減速がある。2003~11年には平均8%以上だったインドの国内総生産(GDP)成長率は、最近は4%台に落ち込んでおり、国民の不満が高まっていた。

 01年から西部グジャラート州首相を務めてきたモディ氏は、積極的なインフラ整備と企業誘致で州に年平均10%の経済成長をもたらした。今回の選挙結果は、インド国民がモディ氏の首相就任を待ち望んでいたことを物語っている。

 一方、与党の国民会議派は44議席で史上最少となった。3人の首相を輩出した名門ネール・ガンジー家の「御曹司」ラフル・ガンジー副総裁を実質的な首相候補として戦ったが、景気低迷のほか相次ぐ汚職疑惑が響き、貧困層など従来の支持基盤にも見放された。

 経済立て直しへの期待は大きいが、モディ氏には気掛かりな点もある。2002年にグジャラート州で起きた宗教暴動の際、イスラム教徒の保護を怠ったとの批判があることだ。この暴動では、イスラム教徒1000人以上が虐殺された。

 モディ氏は少年期からヒンズー至上主義組織「民族奉仕団」(RSS)の活動に加わり、その後に政治部門であるBJPに移籍。今でもRSSと密接な関係にあり、選挙戦終了直後には同組織最高幹部と今後の方針を話し合った。

 BJPの台頭で、RSSには入団希望者が殺到している。こうした動きに、イスラム教徒は不安を募らせている。モディ氏には宗教対立を激化させないような取り組みを求めたい。

 日本とインドの間では両国首脳が毎年交互に相手国を訪れるシャトル外交が行われている。モディ氏は親日家として知られ、日本政府は次期首相としての初外遊先を日本とする方向で調整している。

 インドに進出する日系企業は年々増加し、13年には1000社の大台を突破した。モディ氏は州首相時代に日系企業専用の工業団地を造ったほか、今回の選挙演説で日本の新幹線の導入にも言及している。政権交代を機に、インドへのインフラ輸出拡大も期待される。

 モディ氏と電話で会談した安倍晋三首相は「日本とインドはアジアの二大民主主義国として、普遍的な価値と戦略的利益を共有している」と述べた。

 安全保障面での連携を

 日印両国にとっては中国をにらんだ安全保障面での連携も重要だ。地域の安定に向け、両国に米国を加えた枠組みの強化も求められる。

(5月21日付社説)

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