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GoToトラベル 感染防止策を徹底し柔軟に

 新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ観光事業を支援する「Go To トラベル」キャンペーンがきょうから始まる。感染の再拡大で東京都が対象から除外されたが、感染防止策を徹底して徐々に成果を上げていきたい。

キャンセル料一転補償へ

 「Go To トラベル」は、1人1泊当たり2万円を上限に旅行代金の最大35%を割り引き、9月からは旅行先の土産物店や施設で使えるクーポンを旅行代金の最大15%分配布する。

 政府は当初8月上旬の開始を考えていたが、旅行業界の強い要望で、連休前のきょうからの開始とした。ところが、東京都での新規感染者が過去最多を記録するなど感染が再拡大したため、地方の首長から懸念の声が相次ぎ、東京都を対象から除外することとなった。やむを得ない判断である。

 また、東京除外を発表した段階で政府は、キャンセル料の補償を行わないとしていたが、与党内からの声もあり、一転し補償を決めた。政府主導のキャンペーンである以上、当然だ。

 政府の方針転換で地方や現場が振り回される状況となっているが、当初は感染がここまで再拡大するとは考えなかったこと、さらに業界の声に押されて開始を前倒しした予測の甘さを否定できない。社会経済活動の再開のムードも手伝った。

 ただ、感染拡大予防と社会経済活動の両立という、これまで経験したことのない課題に取り組む以上、試行錯誤や方針転換があるのは当然だ。問題は、さまざまな手段が、政治的な思惑やムードに流されず、合理的で適切な判断であるかどうだ。さらに、それが迅速に実行されなければ意味がなくなる。

 「Go To トラベル」の東京除外では政府と東京都の意思疎通が十分でないことも浮き彫りになった。コロナとの戦いは、政府と地方自治体の情報共有と十分な連携がなければ勝利できない。オール・ジャパンでコロナと戦う態勢へと立て直す必要があるのではないか。

 地方の観光地や施設では、旅行客の検温や部屋の換気など感染予防対策を徹底するよう指導されている。赤羽一嘉国土交通相は、若者や高齢者の団体旅行は控えるよう呼び掛けている。

 3密の回避という点では、観光地の訪問やホテル、旅館への宿泊は、感染リスクは低い。大人数の宴会などを行うわけではないから、予防策を徹底すれば観光業の振興と感染予防は十分両立できる。

 観光業と同様、大きな打撃を受けた飲食業の需要を喚起する「Go To イート」について、江藤拓農林水産相は事務委託先の公募開始を延期した。東京都では、会食の場での感染拡大のリスクの高さが指摘されている。拙速なキャンペーン開始は避けるべきである。

政府は収束の見通し示せ

 そもそも感染が収まり、安心感を持てなければ、いかに政府がキャンペーンを展開しようとも、国民がそれに乗ってくることはない。政府は専門家の意見をもとに感染収束への見通しを示し、そのために国と国民が今何をすべきかをもう一度示す必要がある。

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