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九州南部大雨 一刻も早い救助に全力を

 熊本、鹿児島両県は梅雨前線の影響で記録的な大雨となり、気象庁が一時、特別警報を発表した。
 川の氾濫や土砂崩れで多くの死者、行方不明者が出ている。警察や消防、自衛隊は救助に全力を挙げるべきだ。

熊本などに特別警報

 熊本、鹿児島両県には梅雨前線が停滞し、発達した雨雲が連なる「線状降水帯」が形成されたとみられる。集中豪雨の原因となる線状降水帯は、2018年7月の西日本豪雨や、15年9月の関東・東北豪雨、17年7月の九州北部豪雨でも発生し、大きな被害をもたらした。

 熊本県では1時間雨量が110~120㍉以上との記録的短時間大雨情報が相次いで発表され、水俣市では12時間雨量が415・0㍉に達するなど観測史上最多雨量を更新する地点が続出。県南部を中心に計約9万3000世帯20万5000人に避難指示が出された。

 気象庁は一時、熊本県南部の八代市や天草市などと、鹿児島県北西部の阿久根市や伊佐市などに、数十年に一度の規模が予想される場合の大雨特別警報を出した。

 この大雨によって熊本県の球磨川が氾濫し、多数の住宅が浸水したほか、県内各地で土砂崩れが発生。球磨村では浸水した特別養護老人ホームで14人が心肺停止となった。このほかにも多くの行方不明者が出ている。球磨川沿いの道路は至る所で寸断され、孤立している集落もある。警察や消防、自衛隊は一刻も早い救助に力を尽くさなければならない。

 梅雨前線は今後も停滞し、西日本を中心に大雨となる恐れがある。引き続き、洪水や浸水、土砂災害などに最大限の警戒が求められる。

 新型コロナウイルスの流行が続く中、避難所の感染拡大防止も大きな課題だ。感染リスクが高まる密閉、密集、密接の「3密」を避けるため、内閣府は4月、災害時はできる限り多くの避難所を開設してスペースを確保するよう自治体に通知。ホテル・旅館などの活用の検討も必要だとした。

 避難所では発熱者などと他の避難者を分けて収容し、避難者の滞在スペースでは、家族間の距離を1㍍以上空け、パーテーションやテントなどで間仕切りすることが有効だとされる。避難者はストレスなどで免疫力が低下する恐れもあるため、感染防止に向け万全の対策を講じるべきだ。

 避難者の中には、感染への不安から避難所に入らず、駐車場の車内で過ごした人もいたようだ。ただ車中泊で長時間同じ姿勢でいると、足の静脈に血栓が生じ、肺に詰まって呼吸困難などに陥るエコノミークラス症候群になる恐れもある。やはり、車内よりも避難所にいる方が望ましいと言えよう。自治体も避難者の不安払拭(ふっしょく)に努める必要がある。

日頃からの備えが必要

 近年は地球温暖化で自然災害が激甚化している。今回のような豪雨や洪水は、全国のどこで起きてもおかしくはない。新型コロナの感染拡大を踏まえた避難所の在り方も含め、日頃からの備えが求められる。

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