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コロナと日本外交 価値共有する国々と連携を

 新型コロナウイルスのパンデミックで日本と世界がかつて経験したことのない困難な状況に置かれる中、香港問題をめぐって米中対立が先鋭化している。米国の同盟国である日本は、自由、民主、人権、法の支配という価値観を共有する国々との連携を強めながら外交力を発揮すべきである。

 香港問題で米中対立激化

 中国の全国人民代表大会(全人代)で、国際公約である香港の「一国二制度」を破壊する「国家安全法」の導入方針が採択されたことに対し、トランプ米大統領は香港の特別な地位剥奪に向けたプロセスを開始して「香港の自由の圧殺」に関わった中国当局者に制裁を科すと発表。新型コロナの世界的蔓延(まんえん)についても、中国の情報隠蔽(いんぺい)の責任を追及し、中国の支配下にあるとして世界保健機関(WHO)からの脱退を表明した。

 一部メディアは、これらトランプ氏の対中強硬姿勢を大統領選挙向けの施策などと指摘するが、こうした米国の姿勢はトランプ氏や保守派だけのものではない。世界の覇権をめぐる戦略がベースにあることをはっきりと認識すべきである。

 安倍晋三首相は、緊急事態宣言解除の際に「自由、民主主義、法の支配という普遍的価値を堅持し、こうした価値を共有する国々と手を携え、自由かつ開かれた形で世界の感染対策をリードしていく」と表明した。

 WHO年次総会で日本、オーストラリア、欧州連合(EU)が提出したウイルスの起源についての独立検証作業を求める決議案が全会一致で採択されたのは、このような方向の第一歩と言える。安倍首相は先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、途上国にワクチンや治療薬を供給するため特許権を一元的に管理する枠組みの創設を提案する考えを示した。

 日本はG7諸国の中では、新型コロナの感染や犠牲者数を格段に小さく抑え込むことに今のところ成功している。日本には、ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏が開発した抗寄生虫薬「イベルメクチン」など薬事承認のための臨床研究が進められている治療薬がある。大きなダメージを被った欧米諸国を助け、新型コロナ対策で世界をリードする材料は少なくない。

 国家安全法について、日本政府は「深刻な憂慮」を表明したが、もっとはっきりと批判し、具体的行動で示すべきだ。米中対立が先鋭化する中、トランプ政権は台湾との連携を強めている。中国の顔色を意識して及び腰だった日本も、台湾との戦略的関係を強化する必要がある。

 防衛力を格段に強化せよ

 日本が中国と厳しく対峙(たいじ)する方向に外交の舵(かじ)を切るには、米国ほか価値観を共有する国々と連携を強めることが不可欠だ。それとともに生産拠点を中国から東南アジアや日本国内に移すなど経済依存度を低下させ、軍事的には沖縄県・尖閣諸島などを守るために防衛力を格段に強化することが求められる。

 今後、中国が「一帯一路」の終着点として関係を深め取り込んできた欧州諸国の中国離れが予測される。米国も多くの困難を抱えている中、日本が果たすべき役割は大きい。

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