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北の軍備拡張、脅威の増大に警戒強めよ

 北朝鮮が露骨に軍備拡張を進めている。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を収容する新しい施設が年内にも完成し、運用に入る可能性があることが分かった。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中射出装備に関する動きも把握されたという。北朝鮮が軍事的脅威を増大させる恐れがあり、日本をはじめ周辺国は警戒を強める必要がある。

ミサイル施設完成へ

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は、北朝鮮の平壌国際空港近くで、弾道ミサイル開発計画に関連する可能性の高い新しい施設が年内にも完成し、運用が可能になるとの分析結果を衛星写真を基に公表した。施設にはICBMを収容できる建物もあるという。

 国連安全保障理事会は北朝鮮にいかなる弾道ミサイル技術の使用も禁止している。こうした施設は国際社会に対する重大な挑戦と言うほかない。

 また韓国の国家情報院は国会での報告で、北朝鮮東部・新浦の造船所でSLBMの水中射出に向けた装備や新型潜水艦が継続して存在していることが確認されたと明らかにした。

 昨年、北朝鮮国営メディアは金正恩朝鮮労働党委員長がSLBM搭載が可能とみられる推定3000㌧級の新型潜水艦を視察したと伝えた。今回の報告が事実であれば、北朝鮮は新型潜水艦によるSLBM発射に並々ならぬ関心を抱いていると言えよう。

 ICBMもSLBMも米本土攻撃を念頭に置いたものだとみていい。北朝鮮はトランプ米大統領との非核化交渉が行き詰まり、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に追われるトランプ氏の関心から遠ざかりつつあった。再び武力挑発で米国を揺さぶる必要があったのだろう。

 北朝鮮は一昨年の韓国・平昌冬季五輪への参加を皮切りに米朝首脳会談や南北首脳会談を通じて融和政策に乗り出したことがあった。だが、その間も軍備拡張の手を緩めなかった。いかなる時も武力挑発を念頭に置いていることを示している。

 当然、すでに北朝鮮の各種弾道ミサイルの射程圏内にある日本もその強硬姿勢を警戒しなければならない。ミサイル迎撃能力の向上は待ったなしだ。

 防衛省は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備をめぐり候補地の一つである陸上自衛隊演習場がある秋田県と協議中だ。配備には地元住民の理解が不可欠だが、日本全体を防衛するという大前提の下で、その立地条件を満たす場所への配備が必要だ。

 北朝鮮が国際社会のさらなる制裁強化を覚悟の上で軍事的脅威を増大させるのであれば、それは中国という後ろ盾がいるためだ。正恩氏は中国の習近平国家主席に親書を送り、同国のコロナ対策を称賛した。中国からの経済支援を念頭に置いたものだろう。中国にも厳しい目を向けなければならない。

暴走に歯止めをかけよ

 米軍高官は今年初め、北朝鮮の軍備拡張は世界最速だと指摘し、技術力の進展に警戒感を示した。コロナ禍に目を奪われがちな今、北朝鮮の暴走に歯止めをかける重要性も忘れてはならない。

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