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憲法記念日 占領期制定の欠落点解消を

 新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)により、わが国でも緊急事態宣言が発令される中で73回目の憲法記念日を迎えた。

 日本国憲法をめぐる改憲派、護憲派の恒例集会も感染対策のため各地で自粛されているが、憲法に非常事態を想定した条文が存在しない問題を直視せざるを得ない。

コロナへの対処後手に

 わが国初の緊急事態宣言は、人と人との接触8割削減を目標にした外出自粛や休業の要請など、かつてない強い措置だ。これほど大きな影響力のある法令が、新型インフルエンザ対策特措法改正による、いわば他法を借りた執行では法治国として歪んでいると言わざるを得ない。

 その原因は、占領期に連合国軍総司令部(GHQ)の指導で制定された憲法に非常時の国家緊急権や独立を守る自衛権について条文がなく、その欠落を護憲派野党が“平和憲法”と称賛し、講和条約発効による主権回復後も改めずにきたためだ。

 戦後間もなく大規模な自然災害が発生したり有事が迫ったりしたが、憲法は護憲派の反対で改正が困難な状況から、わが国は法律で対処してきた。南海地震、カスリーン台風の後の災害救助法、伊勢湾台風の後の災害対策基本法、隣国が有事となった朝鮮戦争に伴う警察予備隊令、保安庁法、自衛隊法、東日本大震災後の東日本大震災復興基本法など、個別的に事が起きてからの法制化だった。

 新型インフルエンザ対策特措法は国内で新型インフルエンザが2009年に流行した後、民主党政権時代に成立し、自民・公明両党への政権交代後に施行されたものだ。今回も、同法の対象に新型コロナを加えた法改正の手間を要し、1月に国内で感染者が初めて確認されてから4月の緊急事態宣言発令まで3カ月近くかかった。

 新型コロナには隔離しか対策がなく、速やかに徹底対策を行い得るか否かが明暗を分ける。感染抑制に効果を上げた国では、移動制限・外出禁止などの素速く厳格な都市封鎖や、携帯アプリによる隔離対象者の移動経路の公開などがなされた。

 しかし、このような措置はわが国では取られていない。憲法に国家緊急権規定がなく、私権制限やプライバシーをめぐる論争を起こしながら、個別事案に法制化で事後対処するしかない。これではスピードを欠き、今回も対処が後手に回って感染拡大が進んだことは否めない。

 また、改正特措法の外出自粛や休業などの要請は、国民の自発的な協力に委ねられるものであるため、国側の責任も曖昧に見える。今回、政府の経済対策で減収世帯に対する30万円給付から全国民への一律10万円給付に一転するなどの混乱が生じたほか、休業補償も都道府県の間で格差があり、要請に応じず営業を続けたパチンコ店のケースもあった。

緊急事態について規定を

 憲法が保障する権利と自由を制限する強制力と引き換えに、補償も国が責任をもって行うなど、緊急事態について憲法でしっかり規定し、政府の対処をより迅速で効果的にする法整備を進めていくべきだ。

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