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コロナとDV、世界的課題への対応を急げ

 新型コロナウイルスの感染拡大の収束には、外出自粛が欠かせない。

 一方、休校の長期化や在宅勤務などによるストレスの影響で、児童虐待やDV(ドメスティックバイオレンス)被害のリスクが高まっている。極めて憂慮すべき事態である。

 国連「陰のパンデミック」

 札幌市児童相談所では、3月の虐待通告件数が約150件に上り、前年同期の1・5倍に増加した。中には、一時保護に踏み切るなど緊急性の高いケースもあったという。これは札幌だけでなく、全国的な問題だと捉える必要がある。

 DVも増加しているとみていい。東京都江戸川区では、収入をめぐる口論から夫に殴られて妻が死亡する事件が起きた。子供の目の前で父親が母親を殴れば、子供への心理的虐待の一つである「面前DV」にもなる。

 DV被害者の支援団体では、これまで相談を受けていた被害者と連絡が付きにくくなり、面談のキャンセルも相次いでいる。夫の在宅勤務で、被害者が電話や面談での相談をしにくくなっているようだ。

 外出自粛でストレスがたまることは理解できる。仕事が減れば、生活への不安も強まろう。だからといって、家族への暴力が許されないのは当然である。

 児童虐待やDVの増加は、外出を制限している欧米などでも見られる。フランスでは、児童虐待の通報件数が今月10日からの1週間で約1万5000件に達し、前年同期比で89%も増えた。夫による妻への暴力も急増している。

 国連はこうした事態を「陰のパンデミック」と呼んで警鐘を鳴らしている。対策強化は世界的な課題だと言えよう。日本も対応を急ぐ必要がある。

 児童虐待の有無を把握するため、厚生労働省は全国の学校に対し、休校期間中に設けられた登校日に子供から聞き取りを行ったり、子供に配布したタブレット端末などを通じて状況を確認したりするよう求めている。これまでも夏休みなどの長期休暇中は虐待リスクが高まる傾向にあり、状況把握を怠ることがあってはならない。

 また政府はDV防止のため、このほど設置した電話相談窓口について、29日から24時間体制で受け付けることを表明。インターネット交流サイト(SNS)やメールでも相談に応じる。一律給付する現金10万円については、本来の住所とは別の場所で暮らすDV被害者が受け取れるように、避難先に直接届くようにする。政府には、暴力の原因ともなっている経済的不安の解消に向け、さらなる対策を求めたい。

 新型コロナと同様、児童虐待やDVも命に関わる問題だ。DVについては、緊急避難用のシェルターの不足を想定し、ホテルや空き家なども活用できるよう検討すべきだ。

 絆を強めるチャンスに

 外出自粛でストレスや不安を抱える中、簡単なことではないが、こういう時こそ家族の絆を強めるチャンスと捉えることもできよう。

 まずは家族の話を聞いてあげ、その気持ちに共感し、寄り添うところから始めたい。

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