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辺野古移設 県は不毛な争いを繰り返すな

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、国土交通相が裁決で取り消した「埋め立て承認撤回」の効力回復を県が求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は県側の上告を棄却した。

 地元住民は容認の立場

 2013年12月、県は辺野古沿岸部の埋め立てを承認したが、18年8月に承認撤回の処分を出した。これに対し、国交相は19年4月、防衛省の行政不服審査請求に基づいて県の承認撤回を取り消した。

 今回の訴訟で県側は「防衛省は審査請求できない」と主張したが、小法廷は一般私人と同様に防衛省も審査を求めることができるとした福岡高裁那覇支部の判断を是認。その上で、地方自治法の規定に基づき、承認撤回を取り消した裁決は裁判の対象にはならないと結論付けた。

 県は国を相手に裁決取り消しを求める訴訟も那覇地裁に起こしている。しかし最高裁では今回だけでなく、16年12月に県の「埋め立て承認取り消し」の違法性が争われた訴訟でも県側敗訴が確定している。

 故翁長雄志前知事や、その遺志を受け継いだ玉城デニー知事は、辺野古移設を阻止するために法廷闘争を続けてきた。だが、不毛な争いを繰り返すべきではあるまい。

 移設をめぐっては19年2月、沖縄で行われた県民投票で、反対票が投票総数の7割を突破した。しかし投票率は5割強にすぎず、移設反対が「県民の総意」とまでは言えない。辺野古の地元住民は振興策など条件付きで移設を容認する立場を取っている。県はこうした声にも耳を傾ける必要がある。

 辺野古移設は基地負担軽減と米軍の抑止力維持のために欠かせない。普天間は住宅や学校などに囲まれているため「世界一危険な飛行場」と呼ばれる。04年8月には、普天間に隣接する沖縄国際大の構内に米軍のヘリコプターが墜落する事故が発生した。

 住民を巻き込むような大事故が起きれば、日米安保体制を揺るがすことにもなりかねない。辺野古に移設すれば、こうした危険性の除去だけでなく、騒音問題の解決や基地問題縮小などの負担軽減につながる。

 また、海洋進出を強める中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威が高まる中、朝鮮半島や中国をにらむ在沖米軍の重要性は増している。日本だけでなく東アジア全体の安全保障のためにも、県内の辺野古への移設で米軍の抑止力を維持する必要がある。

 政府は今年4月にも地盤改良工事などを盛り込んだ移設計画の「設計変更」を県に申請する方針だ。移設工事を着実に進め、一日も早く普天間返還を実現しなければならない。

 政府は負担軽減進めよ

 16年12月には米軍北部訓練場の過半に当たる約4000㌶が日本側へ返還されるなど、これまでも政府は沖縄の負担軽減を進めてきた。

 今後も抑止力を損なわない範囲で負担を減らしていくとともに、辺野古移設の必要性について県民の理解を広げていくことが求められる。

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