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豪森林火災 温暖化への危機感強めよ

 オーストラリアの大規模森林火災が長期化している。こうした火災は世界各地で発生しており、地球温暖化の影響が指摘されている。

 森林が失われれば、温暖化がさらに進行するという悪循環に陥る。全世界で温暖化対策の強化を急ぐ必要がある。

 日本の半分の面積が焼失

 昨年9月からの焼失面積は日本のほぼ半分の約19万平方㌔に達し、消防士ら33人が死亡。家屋など2500棟以上が被害を受けたとされる。

 野生動物にも甚大な被害を及ぼしている。世界自然保護基金(WWF)は、希少動物を含む約12億5000万匹が火災で死んだと推計している。南部のカンガルー島ではコアラ生息地の8割が失われ、約4万6000頭いたコアラが約9000頭にまで激減したという。

 負傷したコアラの痛々しい映像や画像が世界中に広がっている。衝撃的な事態だと言わざるを得ない。

 被害が拡大したのは、昨年後半からの旱魃(かんばつ)で植物が乾燥している中、夏場の暑さが続いているためだ。豪気象庁は、昨年の平均気温が観測史上最も高く、平均降水量は最少だったと発表している。コアラの好物で樹皮などが燃えやすいユーカリが多いことも原因の一つとして挙げられる。

 豪州だけではない。昨年はアマゾンの熱帯雨林やシベリア、米カリフォルニア州などで大規模な森林火災が相次いだ。こうした火災は温暖化の影響で深刻化している。温暖化が進むと、火災の原因となる落雷が増えるとともに土地も乾燥しやすくなるためだ。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、世界の平均気温が1971~2000年よりも1・2度上がれば、世界の約38%の陸地で森林火災が増加し、3・5度上昇すると約62%となる。森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し、大気中のCO2濃度の上昇を抑制する機能がある。森林が焼失すれば、温暖化がさらに進むことになる。

 英気象庁はCO2の濃度が今年、過去最大の規模で上昇するとの見通しを発表した。豪州の森林火災で放出されたCO2が今年の上昇分の最大2割を占めるという。日本でも台風による豪雨が頻発するなど、温暖化の影響で災害が増えている。

 森林火災をめぐっては、ブラジルのボルソナロ大統領が開発優先の姿勢を示していることが原因だとして批判された。

 豪州のモリソン首相も火災が激化する中、昨年末に家族と共にハワイ旅行に出掛けたことで支持率を大きく下げた。政治家だけでなく、私たち一人一人が温暖化への危機感を強めなければならない。

 自衛隊は救援に貢献を

 火災を受け、自衛隊員ら約70人とC130H輸送機2機が豪州に派遣され、救援物資の輸送などを行っている。自衛隊が大規模火災で国際援助活動に当たるのは初めてとなる。

 11年3月の東日本大震災の際、豪州が支援のために空軍輸送機を派遣したことへの恩返しでもある。救援に大きく貢献してほしい。

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