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五輪除外処分、ロシアはドーピングの根絶を

 組織的なドーピングの疑いが持たれていたロシアに対し、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が深刻な違反があったとする調査結果を基に、東京五輪・パラリンピックを含む国際大会から4年間除外する決定をした。ロシアはスポーツからドーピングを根絶すべきだ。

数百カ所のデータ改竄

 来年の東京五輪にロシアは国としての参加を認められず、極めて厳しい審査を通過した選手だけが個人での出場資格が認められる。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長はWADAの決定を支持し、東京五輪前に「史上最大のドーピング検査」を行うと表明した。

 薬物によって競技を有利にするドーピングは「肉体と意志と精神のすべてを高め」るなどオリンピック憲章に掲げられるオリンピズムの根本原則をゆがめる。不正であるとともにアスリートが命を落とした事例もあるなど危険な行為であり、肉体を薬物でむしばみながら勝敗にこだわるのは本末転倒である。

 このため、IOCはドーピングとの戦いを主導し、クリーンな選手とスポーツの高潔性の保護を使命としており、ロシアに対する処分は評価できる。

 WADAはロシアの国家ぐるみの大規模な組織的ドーピング疑惑に対する調査を続けてきたが、1月にモスクワのドーピング検査所から24テラバイト分の選手の情報データを入手し、4月に2012~15年の間の4524尿検体容器のうち2262の検体を調査。データに少なくとも数百カ所の書き換えや消去があったと判明した。

 このため、WADAはコンプライアンス審査委員会に諮り、11月25日に公表した処分案を9日の常任理事会で満場一致で支持した。14年に発覚したドーピング疑惑から調査や処分が続いたが、ロシア側に改善が見られないことは遺憾だ。

 WADAの調査は同年のドイツ公共放送でロシアの元選手が告発して始まり、IOCはソチ冬季五輪でロシアが獲得した33個のうち11個のメダルを剥奪した。16年リオデジャネイロ夏季五輪では各国際競技団体(IF)の条件を満たした選手の参加は認められ、18年平昌冬季五輪ではロシアの参加は認められないが過去に違反がなく厳格な審査で条件を満たした選手に参加が認められた。

 今回の東京五輪からロシアを除外する決定について、プーチン大統領はスポーツ仲裁裁判所へ提訴する姿勢を示し、露アンチ・ドーピング機構のガヌス所長は「ロシアに反論の機会がなかった」と不満を表した。

 薬物依存に終止符を

 ロシア側の反省の薄さは、14年のウクライナ南部クリミア併合に対する国際非難の中での疑惑報道について政治キャンペーンと受け止める傾向が強いことや、社会主義のソ連時代にスポーツを国威発揚に利用した体質に一因がある。違反対象リストにない薬物が、公共の研究機関によって開発されてもいた。その後、新たにWADAが禁止対象に加え、ロシア側に周知されない事例もある。

 まるで、いたちごっこであり、スポーツ界の薬物依存にきっぱりと終止符を打つべきだ。

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