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女川原発「合格」 政府は地元の理解を得よ

 原子力規制委員会は、東北電力女川原発2号機(宮城県)について、再稼働の前提となる新規制基準に「適合している」とした審査書案を了承した。「事実上の合格」となる。

震災時に冷温停止に成功

 2011年3月の東日本大震災で被災した原発で、審査書案の取りまとめは2基目。東北電は、想定される地震の揺れ(基準地震動)を震災前の580ガル(ガルは加速度の単位)から1000ガルに引き上げた。

 最大で高さ24・4㍍の津波を想定し、敷地前面の防潮堤を海抜17㍍から29㍍にかさ上げしたほか、事故が起きた時に放射性物質の漏洩(ろうえい)を抑えながら原子炉の圧力を下げる「フィルター付きベント」を整備するなどの安全対策に総額3400億円をかけている。東北電は20年度以降の再稼働を目指している。

 政府はエネルギー基本計画で原発について「重要なベースロード電源」と位置付けている。エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼る日本にとって、多様な資源でエネルギーを安定的に供給するためにも原発の存在は欠かせない。

 それにもかかわらず、東京電力福島第1原発事故後に再稼働した原発は全国で5原発9基にとどまる。女川2号機の再稼働がスムーズに実現することを期待したい。

 ただ、女川原発は福島第1原発と同型の沸騰水型原子炉(BWR)で、地元自治体の首長は住民や議会の意見を踏まえて慎重に判断する考えを示した。BWRでは、東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)と日本原子力発電東海第2原発(茨城県)が安全審査に合格しているが、再稼働のめどは立っていない。

 女川原発は震災時、1、3号機は運転中で、2号機は原子炉の起動中だった。高さ約13㍍の津波に襲われたが、原子炉建屋など主要施設が海抜14・8㍍にあったことや、外部電源の1系統が生き残ったことなどで冷温停止に成功。被災したにもかかわらず、福島第1原発のように事故を起こすことはなかった。

 地元自治体や住民には、このことも踏まえた判断が求められよう。政府や電力会社も女川2号機の安全性について丁寧に説明し、理解を得る必要がある。

 全国で再稼働が進まないのは、政府の原発政策が不透明なこともあるのではないか。政府は30年の電源構成で原発の比率を20~22%とすることを目指す一方、できる限り原発依存度を低減させるとしている。

 原発の運転期間は12年の法改正で40年と定められ、1回に限り最長20年の延長が可能とされた。ただ延長させるには、新規制基準に適合させるために巨額の安全対策工事費がかかる。福島第1原発事故後、メルトダウンを起こした同原発のほか、全国で8原発15基の廃炉が決まっている。

 これでは30年の目標達成はおぼつかない。政府は原発の新増設や建て替えを進めるとの方針を明確に打ち出すべきだ。

温室ガス抑制に活用を

 スペインの首都マドリードで国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が開幕した。温室効果ガス排出抑制のためにも原発を活用したい。

(当記事のサムネイルはWikipediaから引用いたしました)

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