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台湾総統選 中国への姿勢が問われる

 来年1月11日の台湾総統選に、再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統、最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長、野党・親民党の宋楚瑜主席(党首)が立候補を届け出た。実質的には蔡氏と韓氏の一騎打ちとなる。

 中国にどのように向き合うかが最大の争点となる。

蔡氏が韓氏をリード

 昨年11月の統一地方選で、民進党は「蔡政権で暮らしが楽になったか」と訴える国民党に惨敗を喫して「蔡氏の再選は絶望的」(外交筋)とまで言われる苦境に陥った。

 ところが現在、多くの世論調査で蔡氏の支持率は韓氏を10ポイント以上引き離している。背景にあるのは、中国に対する警戒感の広がりだ。

 中国の習近平国家主席は今年初め、台湾統一に向け「武力使用を放棄することは承諾できない。一切の必要な措置を取る選択肢は留保する」と明言。香港などと同様の「一国二制度」による統一の具体案を検討する考えを示した。

 これに対し、蔡氏は「われわれは一国二制度を断じて受け入れない」と表明。その理由として、中国の一党独裁体制や人権状況の悪化を挙げて「その最たるものは、台湾に対する武力行使の可能性を放棄していないことだ」と批判したのは当然の対応だろう。立候補を届け出た蔡氏は「台湾は、主権独立国家だ。人々は、自らの総統を選ぶことができる」と述べた。

 中国は「一つの中国」原則を認めない蔡政権に、さまざまな圧力をかけている。国際社会での台湾の影響力低下を狙い、台湾と外交関係を持つ国々を切り崩す工作もその一つだ。2016年の蔡政権発足後、中国の資金援助を背景に7カ国が台湾と断交して中国と国交を樹立。台湾が外交関係を持つ国は15カ国に減った。

 台湾に対する直接の圧力だけでなく、デモ隊と警官隊が衝突する香港情勢も台湾の人たちの危機感を強めている。高度な自治を保障するはずの一国二制度は、香港では中国によって骨抜きにされている。こうしたことが、中国に妥協しない蔡氏の支持率を押し上げる要因となっている。

 一方、中台が「一つの中国」であると認める韓氏は、中台対話が断絶している現状について「私が当選すれば対話は行われるだろう」と強調。中国との関係改善で台湾の安全を守り、経済を発展させると主張するが、支持の広がりを欠いている。韓氏をめぐっては、総統選出馬に当たって高雄市長を辞職せず、市長不在の状況をつくり出していることへの批判も強い。

 トランプ米政権は昨年3月、米国と台湾の高官往来を法的に裏付ける台湾旅行法を成立させた。今年8月には台湾へのF16戦闘機売却を決定するなど、台湾に対する圧力を強める中国を牽制(けんせい)する動きに出ている。蔡氏が米国との関係を強化していることも、有権者の支持を集める要因の一つだと言えよう。

対中抑止力の向上を

 台湾総統選の行方は日本にも大きな影響を与える。「台湾有事は日本有事」である。中国への抑止力を向上させる台湾新政権の誕生を期待したい。

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