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年金制度見直し、女性や高齢者を「支え手」に

 公的年金の制度見直しに向けた政府・与党の議論が本格化している。

 少子高齢化が進む中、年金制度を持続させるには、女性や高齢者に「支え手」に回ってもらうことが欠かせない。こうした人たちの労働参加を促す制度改革を進めるべきだ。

厚生年金の適用拡大へ

 その柱の一つが、パート労働者の厚生年金加入を増やす「適用拡大」だ。現在の加入対象は①週労働20時間以上②月額賃金8万8000円以上③従業員501人以上の企業――などを満たすことが条件となっている。適用を拡大すれば、年金の給付水準は改善する。

 この中で従業員規模要件について、厚生労働省は9月に「撤廃すべきもの」と提案したが、中小企業から「事業環境が悪化する」との懸念が出た。厚生年金の保険料は事業主と従業員で折半する仕組みで企業の負担が増えるため、中小企業が不安を抱くのは当然だ。さすがに撤廃は無理があろう。

 最低賃金上昇に対応する中、厚生年金の適用拡大で中小企業の経営が悪化するようでは元も子もない。政府は従業員規模要件を「51人以上」に引き下げる方向で、実現すれば新たに65万人が厚生年金に加入することになる。この場合も中小企業への十分な配慮や支援が必要だ。

 高齢者の労働参加促進策としては、60~70歳の間で選べる年金の受け取り開始時期を60~75歳とする案が検討されている。75歳から受給すると毎月の支給額は65歳から受け取った場合と比べて84%増となる。

 厚労省が8月に公表した年金財政の検証結果によれば、国民年金の保険料納付期間を今の40年から5年間延ばした場合、現役世代の手取り収入と比べた年金額の割合を示す「所得代替率」は現状維持の場合の50・8%から57・6%に改善する。実現に向け、高齢者が働きやすい環境づくりが求められる。

 一定以上の収入がある高齢者の年金を減額・停止する「在職老齢年金制度」の見直しについては、減額対象となる基準を「月収51万円超」とする方針だ。60~64歳では「月28万円超」、65歳以上では「月47万円超」としている現在の基準を引き上げることになる。

 在職老齢年金は高齢者の勤労意欲をそいでいると指摘されている。しかし専門家の分析によれば、65歳以上に関しては就業抑制効果があるという科学的根拠はない。年金財政が悪化することもあって見直しには懐疑的な意見も強い。これに対して厚労省は、高齢者の就労が今後拡大すれば、この制度の弊害が大きくなるとみている。

 厚労省は当初、基準額を月62万円に引き上げる案を検討していた。この場合は追加の年金給付が年2200億円程度必要となり、将来の所得代替率は0・2ポイント減る。

 月51万円であれば、追加分は年700億円程度で、所得代替率の低下も0・1ポイント未満に抑えることができる。

丁寧な説明で理解得よ

 政府は在職老齢年金を含め、年金制度の見直しを進めるのであれば、国民に丁寧に説明して理解を得ていく必要がある。

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