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マラソンは札幌、円滑な実施へ準備を急げ

 2020年東京五輪のマラソン、競歩は札幌での開催が決まった。

 五輪開幕まで残り9カ月を切っている。準備を急がなければならない。

 ドーハで棄権者続出

 国際オリンピック委員会(IOC)が突如、マラソンと競歩の会場を東京から札幌に変更することを検討し始めたのは、9月下旬から中東のドーハで行われた世界陸上での惨状が背景にある。

 世界陸上のマラソンと競歩は深夜の実施にもかかわらず、酷暑で棄権者が続出した。この時は気温が30度超、湿度が70%超に達していた。同様の事態が五輪で発生することを懸念し、会場の札幌変更に動いたIOCの判断は理解できる。

 五輪期間中の札幌の日中気温は東京より5~6度低く、札幌では毎年夏に北海道マラソンを実施している実績もある。選手を暑さから守る上で、札幌変更は妥当な決定だと言えよう。

 しかし、決定の仕方には問題があったと言わざるを得ない。開幕までの期間が残り少ないとはいえ、これまで準備を進めてきた東京都や都民への説明は極めて不十分だった。

 IOCと都、大会組織委員会、政府の4者トップ級会合で変更を了承した小池百合子都知事の「合意なき決定だ。IOCの決定に同意はできないが、妨げない」という言葉は、IOCへの強い不満の表れだ。都民の間からも「残念」との声が上がっている。IOCは、五輪は開催都市の協力があってこそ行えることを改めて肝に銘じなければなるまい。

 会場が札幌に決まった以上、円滑に実施できるよう準備を急ぐのは当然だ。コースは札幌市中心部の大通公園を発着点としている北海道マラソンを軸に検討し、12月のIOC理事会で承認を目指す。日程や開始時間も早急に固める必要がある。

 選手や関係者の輸送手段や宿泊施設、ボランティアなどの確保も急務だ。テロ防止などのため、長い沿道で高いレベルを求められる警備に関しても、綿密な計画が欠かせない。

 また、札幌は東京より涼しいといっても、日によっては気温が上昇することもある。今年8月には30度以上の真夏日が8日間あり、2日には34・2度を記録した。東京と同様の暑さ対策も求められよう。

 追加経費の分担も今後の焦点となる。発生する新たな費用は都が負担しないことで関係者が合意したが、どこが出すかは決まっていない。IOCが札幌変更を主導した以上、それに伴う費用も負担するのが筋ではないのか。

 五輪開催時期の変更も

 一方、小池氏が会合で「五輪開催の前提条件となっている7~8月の実施は、北半球のどの都市でも過酷な条件になると言わざるを得ない」と述べ、開催時期を含め大会の在り方に疑問を呈したのはうなずける。

 五輪が夏に開催されるのは、放映権料を支払う米テレビ局が、スポーツイベントが多い秋ではなく、夏を希望しているためだ。しかし地球温暖化が進む中、開催時期の変更も検討する時に来ていると言える。

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