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首里城焼失、国を挙げて再建に当たろう

 那覇市の世界文化遺産、首里城跡の首里城が火災で炎上し、中心部分の正殿や南殿など7棟が全焼した。

 沖縄の歴史的シンボルであり、沖縄の人々の心の拠り所、そして日本文化の多様性を示す貴重な建築群が焼失した。その損失は計り知れない。

沖縄象徴する観光名所

 首里城は1879年まで続いた「琉球王国」の城として15世紀初頭から整備が始まった。同王国の政治、外交、文化の中心であった。1925年に国宝に指定されたが、沖縄戦で正殿などほとんどが焼失した。

 89年から本格的な復元工事に着手。92年に正殿が美しい姿で復元されると、文字通り沖縄の象徴そして観光名所として広く知られるようになった。2000年には、中国と日本の様式を折衷した独特の建築様式などが評価され、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして世界文化遺産に登録された。そして着手から30年がたった今年1月に工事が完了した。

 本土復帰後の首里城復元は、先の大戦で大きな痛手を負い、終戦後も米国の統治下にあった沖縄が、かつての光輝ある姿を取り戻すことを象徴するものであった。それは国を挙げて取り組んだプロジェクトであるという点で、沖縄が本土との絆の中で本土との一体性を取り戻しつつその個性を回復していく事業でもあった。

 2000年に開催された「九州・沖縄サミット」の社交夕食会が北殿で開かれたのはそのハイライトであった。沖縄は県外から修学旅行で多くの中高生も訪れ、首里城はその旅行コースに必ず含まれている。

 首里城焼失という事態に、玉城デニー知事は管理責任者としての遺憾の意を述べた上で「全身全霊で取り組み、必ず復元する」と強調。政府に協力を要請した。

 安倍晋三首相は「極めて重要な建造物だから、政府として責任を持って全力で再建に取り組んでいく」と述べた。

 首里城の再建は沖縄の人々だけでなく日本全体で成し遂げなければならない課題だ。政府と沖縄県の関係は辺野古移設問題などでぎくしゃくしているが、再建が本来の絆を回復するきっかけとなることが望まれる。

 4月のパリのノートルダム大聖堂の火災を受け、文化庁は世界文化遺産や国宝を含む重要文化財の建造物の防火管理状況について緊急調査を実施した。その結果、約2割で消火設備が老朽化し機能低下の恐れがあることが明らかとなった。

 調査結果を受け、同庁は9月、国宝・重要文化財の防火対策充実に向けたガイドラインを自治体に通知していた。首里城の火災を受け、先月31日には防火設備の点検、確認を改めて求める通知を出した。

しっかりした防火体制を

 わが国の文化財には木造建築物など火災に弱いものが多い。正殿から出火したとみられる首里城の火災も、放射熱で周囲の他の建物に燃え移った可能性が高い。焼失してしまえば後に戻らない文化財も少なくない。強力な指導の下で防火体制をしっかりとしたものにすることが急務だ。

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