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北新型ミサイル、技術向上で増す日本への脅威

 北朝鮮は東海岸沖の日本海から弾道ミサイル1発を東方に向け発射し、島根県島後沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられている。北朝鮮国営メディアによると、発射されたのは新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」で、北朝鮮がミサイル技術を向上させた可能性がある。日本をはじめ周辺国の安全保障を脅かす深刻な事態である。

 米朝協議を前に牽制

 朝鮮中央通信は発射について、国防科学院が日本海の元山湾水域で通常より角度の高い「ロフテッド軌道」で行い、「成功した」と伝えた。労働新聞はミサイルが海中から発射された瞬間の写真を掲載した。

 北朝鮮は陸地から発射する大陸間弾道ミサイル(ICBM)と共に事前に発射の兆候を察知されにくいSLBMの開発にも力を注いできた。2015年に初めて試験発射に成功したと発表し、16年には「北極星1」を発射して日本の防空識別圏内に落下させた。17年にはこれを陸上配備型に改良した「北極星2」を発射。同年、金正恩朝鮮労働党委員長の国防科学院視察の際には「北極星3」と記された図面の写真が報じられた。

 これまでの蓄積データを活用し技術向上が図られた公算が大きい。高角度の発射は落下速度が増し迎撃がより困難とされる。河野太郎防衛相は「北朝鮮は関連技術の高度化を図り、核ミサイルの開発を進めている」と述べた。日本への脅威は確実に高まっている。

 北朝鮮はミサイル落下により「周辺国の安全にいかなる否定的影響も与えなかった」としているが、一歩間違えれば航空機や船舶への被害が発生しかねなかった。北朝鮮には断固たる態度で臨む必要がある。

 発射は5日に再開される米朝実務者協議を前に米国を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。協議の最大目的は非核化交渉の復活だが、米国への直接攻撃の能力をちらつかせて交渉を有利に運びたい考えなのだろう。

 米国は対北強硬派で知られるボルトン氏が大統領補佐官(国家安全保障担当)から解任され、直接の脅威があるにもかかわらず、トランプ大統領は今回の発射に言及しないままだ。朝鮮半島の平和を実績の一つに大統領再選を狙うトランプ氏の足元を見て、北朝鮮が対米交渉カードを増やしていくのは問題だ。

 日米韓3カ国の連携を揺さぶる狙いもありそうだ。トランプ氏が短・中距離弾道ミサイルだけでなくSLBM発射も容認した場合、これらを深刻な脅威と位置付ける日本との間に亀裂が生じかねない。

 安倍晋三首相はトランプ氏に北朝鮮によるあらゆる弾道ミサイル技術を利用した武力挑発は国連安保理決議違反である点を強調し、発射容認に傾かないよう働き掛けなければならない。

 GSOMIA維持を

 韓国が破棄を発表した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も有効期限が切れる来月23日までに韓国政府が方針を撤回しなければ日韓間の情報共有に支障が生じる。韓国政府は今回の発射で日本側に情報共有を要請したが、その重要性を再認識し破棄を撤回すべきだ。

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