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国連気候行動、温暖化対策の粘り強い継続を

 国連でグテレス事務総長の主宰による「気候行動サミット」が開催され、77カ国が2050年に温暖化ガスを実質ゼロにする約束をした。熱波や豪雨による自然災害が世界各地で頻発しており、地球温暖化による気候変動への危機感を国際社会が共有して政策と実行に表していかなければならない。

 16歳少女が冒頭で演説

 グテレス氏は、地球温暖化対策の政治的な機運を高めようと、スウェーデンの16歳の環境活動家の少女グレタ・トゥンベリさんを招き、同サミット冒頭演説の舞台を与えた。「未来の世代はあなたを見ている。私たちを裏切る道を選べば許さない」と、各国の代表者たちを前に怒る涙ながらの訴えは直情的だが、自然の怒りを純情に代弁したと考えることもできる。

 トゥンベリさんが温暖化対策を求める活動を始めたきっかけは、昨年夏、欧州を襲った熱波が住宅に暖房設備しかない北極圏に近い北欧にまで及んで高温が続き、森林火災も発生したことだ。北欧の自然環境の悲鳴をいても立ってもいられないほどに感じ取ったのだろう。

 欧州では夏でも部屋に入れば涼しい石造住宅が伝統的だが、近年は異常な猛暑で、冷房設備がなく熱中症で死亡した人が万の単位になっている。わが国でも熱中症の救急搬送、死亡者が増え、天気予報で「命の危険を感じる暑さ」という警報を出すことが珍しくなくなった。

 ただ、この怒りは抗議デモや国際政治の非難合戦が目的ではない。地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」が来年から本格運用されるが、同サミットでも産業革命前に比べた世界の平均気温の上昇を2度未満に抑え、1・5度未満にとどめるように努める行動を各国に求めた。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、50年をめどに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「ゼロエミッション」の必要性を提示しており、実現に向けて各国・地方自治体などが政策目標を掲げ始めた。

 今回、77カ国がゼロエミッションを約束したことは大きな前進だ。一方で、わが国を含め米国、中国、インドなど主要な温暖化ガス排出国が目標上積みの表明に至らなかったが、それぞれ地球環境問題、温暖化対策に取り組む努力をしてきた。その加速を促す必要はあっても、批判が過ぎて魔女狩りになるのは避けたい。

 厳しい環境基準の前に産業界の反発もあり、米国のトランプ政権はパリ協定を離脱。対策に積極的な欧州でも各国の選挙ではパリ協定に反対して批判票を集める政党もある。大切なことは優れた環境政策の推進が時流となり、企業、産業界、政治のイメージを上げて大多数から支持されることであろう。

 抑制には相応の期間必要

 次世代の怒りはもっともなことだが、産業革命から200年を経た産業化とともに進んだ温暖化を抑制していくには、環境に配慮した知恵と工夫が社会に浸透し、イノベーションが進展するまで相応の期間を要する。動きだした国際的な温暖化対策を絶やすことなく、粘り強く取り組んでいくべきだ。

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