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ロシア軍事演習、中国との連携強化に警戒を

 ロシア軍が大規模軍事演習「ツェントル(中央)2019」を行っている。

 極東やシベリアで昨年に行われた軍事演習「ボストーク(東方)2018」と同様に、中国が参加して中露の軍事的連携を誇示した。

 結束して米国を牽制

 演習は、ロシア南西部に過激思想を拡散する国家がつくられたと想定して実施。中露が主導する上海協力機構(SCO)加盟国のインドやパキスタン、中央アジア諸国も加わった。

 約12万8000人が参加し、2万を超える軍用車両などのほか、航空機約600機、艦船15隻が投入された。中国は四川省成都を本拠とする西部戦区などから、陸上梯団8個、空中梯団11個の部隊兵士1600人を派遣。飛行機とヘリコプター30機近くが参加した。

 中露は安全保障や貿易問題をめぐって米国と対立を深めている。自国が大きな影響力を持つ国際的枠組みで合同軍事演習を行うことで、結束して米国を牽制(けんせい)する狙いだろう。米国や同盟国の日本は、中露の連携強化を警戒する必要がある。

 今年は中露の国交樹立70周年に当たる。6月の首脳会談では「対米共闘」で足並みをそろえて「蜜月関係」を演出した。

 中露は7月、日本海と東シナ海の上空で初の「共同警戒監視活動」を行った。この時、ロシア軍機が島根県・竹島周辺の領空を侵犯し、日本はロシアだけでなく、ロシア軍機に警告射撃を行った韓国に対しても厳重に抗議した。

 領空侵犯の狙いは、日米韓3カ国への揺さぶりとも考えられる。日韓の分断によって日米韓の安保上の連携が崩れれば、地域のパワーバランスが中露有利に傾くことは必至だ。韓国が8月、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を日本に通告したことで、東アジア情勢が不安定化することも懸念される。

 北朝鮮の核問題に関しても、核に執着する金正恩体制を支援してきたのは中露だ。米国と北朝鮮との非核化交渉が停滞する原因の一つは、北朝鮮に中露という後ろ盾が存在することだと言えよう。特に中国にとって北朝鮮問題は大きな対米外交カードであり、北朝鮮の完全な非核化はカードを失うことになるので本音では望んでいない。

 米国は昨年1月発表の「国家防衛戦略」で、中露を国際秩序の現状変更を目指す「修正主義勢力」と位置付けた。中露との「長期的な戦略的競合」が最優先課題であり、対抗するために投資増強が持続的に必要だと強調した。

 安保協力で抑え込め

 中国は南シナ海の軍事拠点化を進め、ロシアはウクライナ南部クリミア半島を併合したほか、ウクライナ東部に軍事介入している。国際秩序を揺るがし、周辺諸国を脅かす中露の動きは目に余る。

 米国は南シナ海での軍事プレゼンスを強化し、欧州と共にロシアに経済制裁を科すなど両国を牽制しているが、同盟国や友好国との安保協力を進め、中露を抑え込むために力を尽くすべきだ。日本は米国との一層の同盟強化を図る必要がある。

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