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サウジ石油施設、市場を脅かす攻撃を阻止せよ

 サウジアラビアの石油関連施設が攻撃を受けたことにより、同国産油量の半分以上の日量570万バレルの生産が停止した。世界に供給される産油量の5%に当たるもので、原油価格の高騰を招くなど世界市場に悪影響を及ぼす攻撃は極めて遺憾であり、阻止すべきである。

イラン関与の疑い濃厚

 この攻撃に対し、イランが支援するイエメンのイスラム教シーア派武装勢力フーシ派が無人機10機による攻撃との犯行声明を出し、イランのロウハニ大統領が「自衛行動を取った」ものと擁護した。

 しかし、攻撃後の調査により攻撃に使われた無人機はフーシ派の無人機よりも高性能であり、他に巡航ミサイルも用いられたとみられている。これらの飛翔体はイラク国境付近のイラン南西部から発射されたと米メディアが同国政府高官の話をもとに伝えた。

 サウジ政府は攻撃されたサウジアラムコの石油施設現場から発見された物証を提示して、同国を訪問中のポンペオ米国務長官と共にイランの犯行であることを示し、軍事行動を除外しない報復措置を取る構えだ。

 トランプ米大統領が、対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任した直後のことであり、むしろ強硬姿勢を示さざるを得ないだろう。ロウハニ師との会談に言及していたトランプ氏も、石油施設攻撃後は「会わない方がよい」と態度を硬化させている。

 緊張の高まりは、国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランとの核合意、米国の同合意からの離脱の双方からもたらされていた。

 2016年に核合意により制裁が緩和されてイランの経済が回復したことに伴い、レバノンのイスラム教過激派民兵組織ヒズボラ、フーシ派などシーア派組織や、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム根本主義組織ハマスへの支援が問題視された。

 特に、イエメンのハディ暫定政権とフーシ派との内戦は、イスラム教スンニ派の大国サウジとシーア派の大国イランとの代理戦争と見られており、泥沼化した。イランがテロを支援しているとの不信感も強かった。

 トランプ政権になって米国は、より徹底した非核化を求めて核合意から離脱し、対イラン制裁を再開。今年4月には「国際的なテロ活動の指令と実行を主導している」としてイランの革命防衛隊をテロ組織に指定した。この後、中東ホルムズ海峡のタンカーが狙われるなど緊張が高まっていた。

 この状況の中で、世界有数の産油国であるサウジの重要な石油施設を、高度な兵器を用いて破壊し、大幅な減産に陥れることは、世界経済への影響が深刻で危険なことだ。

 わが国は関係国の説得を

 サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は記者会見で今月中に産油能力が回復するとの見通しを述べ、市場の動揺を抑えようとしている。再び原油価格の不安定化を招く攻撃を許してはならない。エネルギーを中東に依存するわが国も無関係ではない。国際社会が結束して関係国の説得に当たるべきだ。

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