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拉致問題、全被害者の一日も早い帰国を

 第4次安倍再改造内閣が発足したが、安倍政権が掲げる最重要課題の一つに北朝鮮による日本人拉致問題の解決がある。

 拉致被害者家族の高齢化が進む中、安倍晋三首相は一日も早い全ての被害者の帰国実現に全力を挙げるべきだ。

都内で「国民大集会」

拉致被害者全員の即時帰国を求める「国民大集会」が東京都内で開かれ、首相はあいさつで「いまだに拉致被害者の奪還をなし得ていないのは痛恨の極みだ」と述べた。

 2002年のきょう、北朝鮮の故金正日総書記は小泉純一郎首相(当時)との首脳会談で拉致を認めて謝罪した。この時は当時官房副長官だった安倍首相も同行し、被害者5人が帰国。後にその家族も帰国したが、これ以降進展はない。

 拉致は北朝鮮による国家犯罪である。対外工作のために無辜(むこ)の日本人を連れ去るなど、断じてあってはならないことだ。本来であれば、北朝鮮は即刻、拉致した全ての日本人を帰国させなければならない。

 ところが、この問題に関する北朝鮮の姿勢には誠意のかけらもない。被害者である横田めぐみさん=拉致当時(13)=について、北朝鮮は「死亡した」と説明し、めぐみさんの「遺骨」を提供したが、日本政府のDNA型鑑定で別人と判明した。被害者家族の気持ちを踏みにじる行為であり、強い怒りを禁じ得ない。

 14年5月のストックホルム合意で、北朝鮮は被害者の再調査を約束。だが日本が調査開始時に独自制裁を一部解除したにもかかわらず、北朝鮮は調査状況の報告を先送りし、核実験や長距離弾道ミサイル発射を受けて16年2月に日本が独自制裁を決めると調査を中止すると発表した。身勝手極まりない態度だ。

 被害者家族は高齢化が進んでいる。めぐみさんの父滋さん(86)は入院中で、食事が喉を通らず、やせる一方の状態だという。母早紀江さん(83)は国民大集会で「こんなに長い年月帰ってこないとは思っていなかった。何年待てば帰ってくるのかと本当に苦しい思いをしている」とつらい心境を吐露した。

 政府は被害者として、帰国した5人を含む17人を認定している。このほか、拉致の可能性が排除できない特定失踪者が800人以上いる。日本は米国などと連携して北朝鮮に最大限の圧力をかけ、拉致・核・ミサイル問題の包括的解決を急ぐ必要がある。

ただ、首相が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に無条件での会談を呼び掛けていることには懸念が残る。首脳同士が直接会談して信頼関係を築くことは重要だが、拉致問題や非核化の進展などの前提条件がないまま会談しても成果は得られまい。

解決に向け家族支えたい

 国民大集会では、被害者の田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)代表の飯塚繁雄さん(81)が「オールジャパンで何とかこの問題を近々解決しようという意気込みを持ってほしい」と訴えた。

 拉致問題解決に向け、国民一人ひとりが関心を持ち続け、被害者家族を支えていきたい。

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