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ロシアのクリミア編入、各国はウクライナへの支援を

 ウクライナ南部クリミア自治共和国を、ロシアが編入する手続きが完了した。ロシアはさまざまな理由を付けて編入を正当化しているが、武力を背景にした一方的な国境の変更を認めるわけにはいかない。国際社会は一致団結しロシアへの制裁を強化するとともに、ウクライナへの支援を拡大すべきである。

対露制裁に慎重論も

 クリミアをロシア軍が掌握した当初、ロシアのプーチン大統領は「併合は検討していない」と語っていた。しかしその後、クリミアの住民投票の結果を受け、編入を宣言した。

 クレムリンに上下両院議員を集め、編入条約の批准を要請。その場で、ロシアが独立承認したクリミア自治共和国のアクショノフ首相らと「国家間」の編入条約に調印してみせたのだ。

 プーチン大統領がクリミア編入に踏み切ったのは、編入を支持するロシア、クリミア双方の住民の声が大きく広がったことに加え、たとえ編入しても、欧米は強力な制裁を打ち出せないだろうと判断したためだ。

 ロシアに進出した欧米企業はロシアに多額の投資を行っている。経済的な結び付きもソ連時代とは比べ物にならないほど強く、ロシアに対する制裁は自らにも大きな影響を与える。

 欧州は「天然ガスの3分の1をロシアに依存」(ロイター通信)している。2006年にロシアがウクライナへの天然ガス供給を停止したことで、同国を経由するパイプラインで天然ガス供給を受ける欧州では大きな騒ぎとなった。

 このため、欧州では対露制裁に慎重論が強い。欧州連合(EU)が首脳会議で合意したのは、クリミアの編入決定に関与したロシア高官ら12人の資産凍結と渡航禁止、そしてEUとロシアの次回首脳会議の中止などにとどまった。

 オバマ米大統領は、個人・団体を対象とした資産凍結と米国への渡航禁止措置を柱とする制裁を決め、ロシアに対する圧力を段階的に強めたものの、野党・共和党のマケイン上院議員らが主張するウクライナへの軍事支援には踏み切れないでいる。

 一方、ロシアはウクライナに対し、クリミア半島セバストポリ海軍基地の貸与を受ける見返りに天然ガス代金を割り引く両国合意を破棄し、未払いの天然ガス代金など160億㌦(日本円で1兆6000億円余り)の支払いを求めていく方針を決めた。財政が逼迫するウクライナにとって極めて大きな圧力だ。

 さらに、ウクライナ東部国境沿いに2万人以上のロシア軍を集結させた。「部隊の展開は演習目的で、国境を越える意図はない」としているが、ウクライナの軍事力はロシアの16分の1程度であり、侵略されるかもしれないという恐怖を抱かせるに十分な行動だ。

 クリミアはウクライナに水や食料、エネルギーを依存している。これらの供給が止まれば大きな影響を受けるため、ウクライナに圧力を掛け、供給を約束させる腹積もりだろう。

財政的支援を拡大せよ

 国際社会はウクライナへの財政的な支援を拡大し、同国がロシアの圧力に屈することがないようにすべきである。

(3月23日付社説)

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