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山の日 倫理的感性が遭難を防止する

 きょう8月11日は山の日。山に親しみその恩恵に感謝する日だ。今年で第4回を迎える。

 山梨県甲府市では「第4回『山の日』記念全国大会」が開催され、記念式典や登山家らによるトークショーなどのイベントが繰り広げられる。

女子登山家の活躍目立つ

 この数十年の間に登山形態はさまざまな面で変化してきた。登山靴は重くて硬いフルレザーから、ゴアテックスとナイロン素材を使った軽くて快適な靴になり、ザックも背負うのではなく着るものという発想でデザインされ、目的や体格、性別などに合わせてサイズを選ぶ時代に。テントは組織用から個人用へとニーズが変化した。

 装備で共通するのは軽量化だ。それは登山者の行動範囲を広げることになり、かつて1週間かかった縦走路を数日で走破することも可能になった。

 クライミングの分野では人工壁で競うボルダリングやリードが登場した。落ちても危険がないために、岩登りとは違った動き方を追求し、それが大自然での岩登りを先鋭化させることにもつながっていった。

 女子登山家の活躍も目立つ。女性ならではの感性で大自然や山小屋で過ごす時間の楽しさが紹介され、彼女らの活動が「山ガール」のブームをつくったとも言えよう。

 記録は更新され続けている。冒険家の南谷(みなみや)真鈴(まりん)さんは2016年7月、北米最高峰デナリ(旧称マッキンリー)に登頂。19歳で七大陸最高峰を制覇した。すべて登るのに要した期間は1年半にすぎない。

 昔の登山家は日本の山に崇高な美を見いだしたが、現代の冒険家は地球の美しさを実感している。人の行動範囲が地球規模に拡大されている。

 その一方で、山岳遭難の発生件数は増え続けている。15年には2500件を超え、昨年は過去最多で2661件、死者・行方不明者は342人に上った。60歳以上が全遭難者数の半数を超えているのは、中高年の登山者が多いからでもある。

 17年3月、栃木県那須町の那須岳で行われた県高校体育連盟主催の「春山安全講習会」で、雪崩により高校生7人、教員1人が死亡する事故が起きた。同年10月には県教育委員会による報告書が出された。

 ところが「雪崩事故防止研究会」代表の阿部幹雄氏は、その報告内容に疑問を持ち、独自に調査して検証。それが今年6月に『那須雪崩事故の真相』(山と渓谷社)として出版された。結論は県教委と違って、雪崩は人為的に発生した可能性が高かったという。

 それよりも驚かされたのは、指導に当たった教師たちがルートや地形を把握できておらず、同様の雪崩事故を過去に起こしておきながら報告されていなかった事実だ。

登山でも重要な課題

 登山界の明暗両面に触れたが、自然界を貫く原理と人間が生きるべき倫理的道徳的法則は一貫している。模範的な登山家たちが示しているのは偉業を支えてきたその倫理性、人間性なのだ。そうした感性を養うことは、登山でも非常に重要な課題である。

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