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女子ゴルフ新星、五輪でのメダル獲得に期待

 無邪気、天真爛漫(らんまん)――ラウンド中もトレードマークの笑顔を絶やさず、合間には駄菓子を頬張り、ギャラリーと握手やハイタッチを交わし、手袋を欲しがる少年には気前よくサインして手渡し、記念撮影までした。そうしながら女子ゴルフのメジャー大会である全英女子オープンで、初出場初優勝を成し遂げた渋野日向子選手である。

 42年ぶりのメジャー勝利

 日本勢のメジャー勝利は男子ではまだなく、女子は1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子さん(現日本女子プロゴルフ協会顧問)以来2人目、42年ぶりの快挙である。その後、米女子ツアー賞金女王になった岡本綾子、小林浩美、福嶋晃子、世界ランキング1位だった宮里藍、宮里美香、昨年の畑岡奈紗と名だたる名選手があと一歩にまで迫りながら、ことごとく栄冠を逃してきたのである。渋野選手の快挙がどれほどのものか分かろう。

 まるで重圧がないかのような自然体で伸び伸びとプレーする渋野選手のスタイルに「こんな選手は見たことがない」と賛嘆する欧米メディアが付けた愛称が「スマイリング・シンデレラ」である。また英紙ガーディアンは「日本以外でプレーしたこともなかった。彼女はセンセーションだ」と評した。とても、昨年プロテストに合格したばかりの新人とは信じられないと驚くのもよく分かるのである。

 プロスポーツはメジャーの競技であるほど、選手は真剣さと身震いするほどの緊張の中で集中力を高め、力と技術の限りを尽くして勝利を目指す。これが一般スポーツでは、勝利を競いつつもスポーツそのものを楽しむ要素が大きくなる。

 渋野選手のスタイルは、プロの厳しい世界に身を置きながら、一方でスポーツ本来の楽しむ姿をも体現していることの印象が強い。そのことがまさに「新人類という感じ」(樋口さん)で、新星が新時代のスポーツのありようを示唆しているようで、そのことも爽やかな衝撃を与えていると言えまいか。

 女子ゴルフ界では渋野選手ら98年度生まれは「黄金世代」と注目されてきた。樋口さんが日本女子プロゴルフ協会会長に就任した97年から、若手選手の育成に乗り出し、アマチュア選手の参加試合数の制限撤廃など大胆な改革を進めてきた。取り組みが功を奏して宮里選手らスター選手が育ち、世界で活躍した。黄金世代は宮里選手らへの憧れを原動力に成長してきたのだ。

 すでに日米ツアーで通算6勝の畑岡、国内で4勝の勝みなみ両選手のほか、新垣比菜選手らが期待を背負って活躍している。渋野選手はアマチュア時代に見るべき実績を残していなかった。プロテストも最初は失敗し、2度目の挑戦で合格した。昨年は国内の下部ツアーで未勝利に終わったが、今年は国内で2勝したあと一気にメジャー制覇へと頂点に駆け上がり、東京五輪代表争いに名乗りを上げたのである。

 黄金世代の熱い代表争い

 今後、層の厚い黄金世代の熱い代表争いが繰り広げられるが、それだけ女子ゴルフのメダル獲得の可能性が高まる。期待は大きく膨らむのである。

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