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ロシア首相択捉訪問、不法占拠を正当化する暴挙だ

 ロシアのメドベージェフ首相が、北方領土の択捉島を訪問した。北方領土は日本固有の領土であり、メドベージェフ氏の訪問はロシアによる不法占拠を正当化しようとする暴挙だ。

 譲歩しない姿勢鮮明に

 メドベージェフ氏の北方領土訪問は2015年8月以来4年ぶり4回目。大統領だった10年にロシアの国家元首として初めて北方領土を訪れた。

 今回は水産加工場や温泉施設のほか、学校や住宅の建設状況を視察し、ロシアの主権下で択捉島を開発する意志を強調。北方領土について「われわれの領土」と主張し、領土問題で譲歩しない姿勢を鮮明にした。

 だが、旧ソ連は第2次世界大戦末期の1945年8月9日、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾した後の同年8月28日から9月5日までに北方四島を占領した。ロシアは北方領土について「第2次大戦の結果、ロシアの領土になった」と主張するが、条約違反の不法占拠を容認することはできない。

 メドベージェフ氏の択捉島訪問を受け、日本政府が外交ルートを通じて強く抗議したのは当然だ。河野太郎外相は「日本国民の感情を傷つけるもので、極めて遺憾だ」と非難する談話を発表した。

 北方領土問題を含む日露の平和条約締結交渉をめぐっては、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が昨年11月、条約締結後の歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めることで合意した。だが仮に2島返還で合意した場合、ロシア側が「北方領土問題は決着した」と主張し、国後、択捉両島についての領土交渉を拒むことが懸念される。

 今年2月7日の「北方領土の日」に開かれた北方領土返還要求全国大会で、政府は大会アピールから従来の「不法占拠」との表現を削除するなど、ロシアへの配慮をにじませた。しかし、これでロシアが態度を軟化させるとは考えられない。今回のメドベージェフ氏の択捉島訪問に見られるように、かえって増長させるだけだろう。

 ロシアにとって、千島列島・北方四島は原子力潜水艦と水上艦隊が自由に太平洋にアクセスする要衝であり、他国を寄せ付けない防衛ラインでもある。国後、択捉両島には北海道東部まで射程に入れる地対艦ミサイルが配備され、軍事演習も行われている。

 プーチン氏は北方領土を日本に引き渡した場合、米軍基地が置かれることを懸念している。防衛ラインの近くに米軍施設ができれば、軍部からの突き上げも避けられないだろう。だが、どのような理由があっても北方領土の不法占拠を正当化することはできない。

 4島返還実現の決意示せ

 領土問題をめぐっては、6月に大阪で行われた日露首脳会談でも具体的な進展はなかった。北方四島は一日も早く日本に返還されるべきだが、成果を焦ればロシアに足元を見られるだけだ。安倍首相には4島返還の原則に立ち返り、必ず実現するという決意を示してほしい。

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