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ロシア横断高速道、需給で相互依存を強める中露

 ロシア政府はこのほど、中国と欧州を結ぶハイウエーの実現に向けロシア国内を横断する約2000㌔の高速道路を建設する民間投資家の計画を認めた。完成すれば、経済発展した欧州と中国を陸路で結ぶ物流網の大動脈として機能するとみられ、今後のユーラシア大陸の国々の経済動向を注目していく必要がある。

 「ユーラシア」構想に動き

 ロシアの「メリディアン・ハイウェイ」と呼ばれる高速道路建設計画は、東はカザフスタン国境から西はベラルーシ国境までロシア南部の地方を通る4車線高速道路で、ロシアの巨大ガス企業ガスプロム副会長などを歴任したアレクサンドル・リャザノフ氏が提唱し、メドベージェフ首相が承認したことを露メディアが伝えた。

 建設予定地の80%は買収済みで、約94億㌦の総工費を中国を含む民間投資で賄う。既に露オレンブルク州のカザフスタン国境付近で着工しており、償還期間は12~14年を見込んでいる。

 ルートに当たるロシア南部の連邦構成体は「ロシアのラストベルト(さび付いた地帯)」と言われており、いわば欧州-中国を結ぶバイパスだが、建設予定地ではハイウエー開通による経済効果が期待されている。

 背景には中露首脳の蜜月関係がある。特に米国による対露、対中経済制裁が、中露の依存関係を強めていると言えよう。プーチン大統領は4月、北京で開かれた中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の第2回フォーラムに出席し、また6月に習近平国家主席はロシアを訪問して貿易経済分野での協力拡大で一致している。

 これまでも両首脳は、一帯一路にロシアやカザフスタンが創設した「ユーラシア経済連合」を合わせた「大ユーラシア・パートナーシップ」構想の推進で協力することを確認している。陸で地続きの国家間での物流が盛んになり、需給に不可欠な相互依存が高まることは平和と友好に貢献するものだ。

 このことは、中国の一帯一路において「一帯」(シルクロード経済ベルト)の方は有望であることを意味する。中露外交関係の好転が、経済発展に向かうことは否定するわけにはいかないだろう。

 一方、「21世紀海上シルクロード」である「一路」は、中国の海洋進出が軍事的な動きを伴っており、西太平洋からインド洋の沿岸国、島嶼(とうしょ)国において軋轢(あつれき)を生んでいる。特に南シナ海では、国際法違反の力による現状変更の問題を引き起こしており、看過できない状況がある。

 海に囲まれたわが国は「自由で開かれたインド太平洋構想」を米国をはじめとした同盟国と共に堅持し、中国の一帯一路に対する協力に慎重にならざるを得ない。

 欧米との信頼回復不可欠

 上海からドイツ・ハンブルクまで8000㌔以上の車の旅も夢ではない時代になりつつあるが、中国の海洋覇権や人権問題、ロシアのウクライナ南部クリミア半島併合など政治問題の壁は厚い。中露の巨大インフラ開発が真に花開くには、これらの問題克服や、欧米諸国との信頼回復が不可欠である。

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