«
»

南シナ海、国際連携で中国に対抗を

 シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、マティス米国防長官が「自由で開かれたインド太平洋」を強調し、南シナ海で軍事拠点化を進める中国を厳しく批判した。

 南シナ海は日本にとっても重要なシーレーン(海上交通路)だ。米国をはじめ国際社会との連携を強め、中国に対抗する必要がある。

マティス氏が強く批判

 マティス氏は「中国の南シナ海における政策は、米国の戦略が促進する開放性と明確に反する」と強調。軍事拠点化については「習近平国家主席の2015年のホワイトハウスでの約束に反している」と非難した。

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は16年7月、中国が主張する南シナ海の「歴史的権利」を否定する判決を下した。それにもかかわらず、中国は判決を無視して身勝手な振る舞いを続けている。

 最近も南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島にミサイルを配備し、西沙(英語名パラセル)諸島のウッディー(中国名・永興)島では戦略爆撃機の離着陸訓練を行った。マティス氏が国際ルールに従おうとしない中国を強く批判したのは当然だ。米国防総省は先月、多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」への中国の招待を取り消した。中国が国際社会の信頼を損なっている以上、やむを得ない措置である。

 一方、中国の何雷・中国軍事科学院副院長(中将)は記者団に「南シナ海の島嶼(とうしょ)と周辺海域は中国の神聖な領土だ」と主張。米艦艇を派遣する「航行の自由作戦」こそが「南シナ海の軍事化だ」と米国を批判した。

 中国が地域の大国であるとの自覚を欠く発言だと言わざるを得ない。強大な軍事力を背景とした膨張政策で周辺諸国に脅威を与えるのではなく、地域の安定と発展のために貢献することが大国の役割ではないのか。

 小野寺五典防衛相はインド太平洋地域に関して「法の支配に基づく自由で開かれた『公共財』とすることで、地域の全ての国が繁栄することができる」と述べた。その通りであり、日本は南シナ海問題への関与も一層強めていくべきだ。

 日本は中国との間で南シナ海の領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムなどに、海上警備能力向上のために巡視船を供与するなどしてきた。今年3月には南シナ海で、海上自衛隊の「空母型」のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」が米海軍の原子力空母やイージス艦と共同訓練を行った。こうした取り組みを今後も推進する必要がある。

 中国を牽制(けんせい)する上で、日本には米国やオーストラリア、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)などのほか、欧州との連携も求められよう。

G7で危機感共有を

 安倍晋三首相は、カナダで開かれる先進7カ国(G7)首脳会議で、中国の海洋進出について改めて説明し、習政権の「強国路線」への危機感を各国首脳と共有すべきだ。

 インド洋と太平洋に面したアジアとアフリカを結ぶ地域の経済成長と安定を目指す「インド太平洋戦略」への関与も欧州首脳に促していく必要がある。

2

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。