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北朝鮮の挑発行為に万全の備えを

 北朝鮮の祖国平和統一委員会は報道官談話を発表し、米韓が春に行う合同軍事演習「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」は「核全面対決戦の宣戦布告」だと非難し、中止を要求した。

 春の米韓演習への非難は毎年のことだ。しかし今回は、事実上のナンバー2だった張成沢氏が処刑された後であり、国民の目を外に向けるために北朝鮮が挑発行為に出る可能性も否定できない。日本には米韓両国との連携による万全の備えが求められる。

 米韓演習の中止を要求

 米韓演習中止要求に対し、韓国国防省報道官は「演習は予定通り実施する」と述べた。その上で「有事に備えた通常の訓練を理由に北朝鮮が軍事的挑発を行えば、わが軍は容赦なく断固として反撃する」と警告した。

 北朝鮮は昨年2月、3回目の核実験を強行。3月には米韓演習に反発して韓国動乱の休戦協定白紙化を宣言したほか、日米韓に対し核の先制攻撃を行うと威嚇した。

 このような強硬路線を主導したのは、崔竜海・軍総政治局長とされている。一方、張氏は経済支援を仰ぐ中国の反発などを懸念して核実験には慎重な立場を取り、崔氏と対立していたという。

 北朝鮮の核実験は地域の安定を損なう挑発行為であり、到底許されない。日米韓など関係国は非核化への取り組みを加速させる必要がある。

 張氏の処刑によって、北朝鮮では金正恩第1書記を中心とする体制が一層強化されるとみられている。だが、それは極端な恐怖政治に基づくものだ。米政府は「北朝鮮政権の極端な残虐さを示す新たな事例だ」と処刑を非難した。

 北朝鮮は昨年、「経済建設・核武力の並進路線」を国家目標として掲げた。しかし、中国との経済協力の「旗振り役」だった張氏が処刑されたため、中国式改革・開放路線に舵(かじ)を切るタイミングは遠のいた。こうした状況で、経済危機を脱出できるかは疑問だ。

 韓国情報機関系シンクタンクの国家安保戦略研究所によれば、金正恩体制の2年間で金日成主席や金正日総書記を偶像化するための施設に2億㌦、娯楽施設の建設に3億㌦の計5億㌦が浪費された。

 金第1書記には国民の食料事情についての正確な報告が上がっていない可能性もあるという。経済を立て直すことができなければ、国民の不満が高まり、体制の不安定化にもつながりかねない。

 張氏処刑による国内の動揺を抑えるため、北朝鮮が挑発行為に出ることは十分に考えられる。韓国の金寛鎮国防相は、北朝鮮が「1月下旬から3月初旬の間に(軍事)挑発する可能性が大きい」との見方を示している。日本も今後の北朝鮮の動向を注視する必要がある。

 日韓関係改善へ一歩を

 北朝鮮の挑発に備えるには、日米韓の連携が不可欠だ。特に日韓関係は悪化が続いているが、北朝鮮に対処するには日韓の協力が求められる。

 関係改善に向けた一歩を期待したい。

(1月17日付社説)

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