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安保法制のミスリード マスコミは基礎知識持て

文藝春秋に事実誤認

 平和安全法制に反対する人たちは、参議院で平和安全法制が成立したら、国会のデモはもっと激しくなる!と言っていた。

 しかし、平和安全法制成立後の国会周辺は、極めて静かなものである。あの騒ぎはいったいなんだったのか?というのが現実である。

 しかし、マスコミは今でも若者のデモを英雄のように持ち上げる。

 『文藝春秋』11月号も「保守は『SEALDs』に完敗です」との対談記事を載せていた。そこで、筆者は、早速読んで驚いた。明らかな事実誤認があるからだ。

 それは「SEALDs(シールズ)」の創設メンバーの奥田愛基氏の発言で、「現状、自衛隊は軍隊ではありませんから、自衛官は、万が一拘束された時に国際法上の捕虜にもなれません」との記述である。

 正しくは、自衛隊は捕虜の取り扱いを定めたジュネーブ条約上、軍隊として扱われているので、当然、武力紛争において自衛官が敵国に拘束された場合には捕虜としての扱いを受ける、ということだ。

 ちなみに、政府見解では、「自衛隊は、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、自衛権行使の要件が満たされる場合には武力を行使して我が国を防衛する組織であることから、一般にはジュネーブ諸条約上の軍隊に該当すると解される」とされるとともに、ジュネーブ諸条約の一つである捕虜の待遇に関する1949年8月12日のジュネーブ条約(第4条A)には、「この条約において捕虜とは、次の部類の(一)に属する者で敵の権力内に陥ったものをいう。(一)紛争当事国の軍隊の構成員及びその軍隊の一部をなす民兵隊又は義勇隊の構成員」と書かれている。

 以上のことから、自衛官が捕虜になった場合は、ジュネーブ諸条約上の捕虜として扱われるという結論になる。

 そこで筆者は、事実を誤って掲載する権威ある『文藝春秋』の編集長に電話で誤りの訂正を求めた。編集長は「そうですか、編集のものに確認します」とのことだった。

 平和安全法制が話題となり、初歩的な誤りに気付かず掲載してしまうマスコミ編集者に問題がある。

 どうしてこうした誤りが生まれるのか?

 それは、憲法と自衛隊の政府の正式な見解をキチンと踏まえず、誤りを平気で発言するからだ。

 筆者は、慶應義塾大学大学院の法学研究科で15年間、日本の安全保障講座を講じてきたが、その際に「安全保障法制については、まず政府の正式見解をしっかりと学ばないで、論じることは害だ」と指導してきた。

 全国各地で平和安全法制についての講演をしているが、その際に、必ず憲法第九条と自衛隊の関係を説明する。

 自衛隊は、憲法上では軍隊か?

 自衛隊は、国際法上は軍隊か?

 答は、自衛隊は憲法上では軍隊でなく、国際法上は軍隊となる。

 国内では、軍隊でない自衛隊が海外では軍隊となるが、諸外国の軍隊と同様な活動が可能か?となると、答は否となる。特に、自衛隊の海外での武器の使用権限が制限され、海外での武力行使が禁じられているからだ。

 だから、憲法違反にならないための「武力行使と一体化しない」といった議論となるわけだ。

 こうした議論は、自衛隊が軍隊でないことから、日本独特のもので諸外国にはない。

政府見解を理解せず

 日本の安全保障法制を論じる場合、こうした基礎知識をキチンと理解しないと、誤った感情的な議論となる。マスコミ関係者も、必要最小限度の安保法制を正しく理解しないと読者をミスリードすることになる。

 問題は、多くのマスコミ関係者や憲法学者などがこうした安全保障法制に関して、正しい政府見解を理解しようとしないことである。

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