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極超音速ミサイル 敵基地攻撃能力で対北抑止を

11日、北朝鮮の国防科学院が行った「極超音速ミサイル」の試射(朝鮮通信・時事)

11日、北朝鮮の国防科学院が行った「極超音速ミサイル」の試射(朝鮮通信・時事)

 北朝鮮が年明け早々、無謀な武力挑発を繰り返している。変則軌道で地上レーダーでは捉えにくい「極超音速ミサイル」とみられる飛翔体の発射実験を5日と11日に行った。実戦配備されれば従来のミサイル防衛システムの網の目をかい潜(くぐ)る深刻な脅威で、断じて容認できない。日本は抑止力として敵基地攻撃能力の保有を進めるべきだ。

 正恩氏肝いりの開発

 北朝鮮の極超音速ミサイル発射は昨年9月以来。飛翔体はいずれも北朝鮮内陸部から日本海に向け発射され、そのうち1発は1000㌔飛行した後、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定されている。

 5日の発射について韓国国防省は「極超音速飛行体技術に未達」と指摘していたが、11日の発射では音速の10倍のマッハ10で飛行し、技術が一定レベルに到達していることを示した。

 北朝鮮は昨年1月の党大会で極超音速ミサイルについて「近いうちの開発」に言及。同年10月の国防発展博覧会に展示された新型ミサイルの中には極超音速ミサイルが含まれていたとみられ、今回の発射では金正恩朝鮮労働党総書記が現場を視察した。正恩氏肝いりのミサイル開発が、いかに短期間に進められるかを物語るものだ。

 北朝鮮の暴挙に歯止めをかけるには、国際社会が北朝鮮の高度化し続ける軍事力に対抗する特段の措置を講じなければなるまい。韓国の文在寅政権が試みて失敗したように、うわべの平和ムードや一時的な対話はほとんど意味を成さない。

 これまで国際社会は、国連安保理の制裁決議をはじめ数多くの制裁を北朝鮮に科してきたが、ミサイル防衛網を無力化しようという新たな挑戦を受けている。さらなる対抗措置が必要なのは論をまたない。

 極超音速ミサイルが実戦配備された場合、日本のイージス艦や迎撃ミサイル「PAC3」などによるミサイル防衛システムが無力化される恐れがある。抑止力としての敵基地攻撃能力の保有を具体化させる時だろう。

 敵基地攻撃能力は、敵による核搭載弾道ミサイルなどの攻撃を防ぐ上で他の手段がないと判断される場合、敵のレーダーを無力化させて防空網を突破した後、ミサイルや戦闘機、場合によっては特殊部隊が敵基地のミサイル発射システムなどを破壊する能力のことだ。

 現在は日米防衛協力の下で米国の役割分担とされているが、日本が主体的にどう取り組むのかが問われよう。「専守防衛」を盾に「違憲」だとする一部主張に引きずられるようなことがあってはならない。

 岸田文雄首相は敵基地攻撃能力の保有の是非について検討し、年末までに外交・安保政策の長期指針「国家安全保障戦略」など3文書を改定するとしている。国会でも与党に加え、日本維新の会や国民民主党など一部野党もこれに前向きな姿勢だ。議論を進めてもらいたい。

 レールガンの導入も

 松野博一官房長官は、極超音速ミサイルの迎撃が可能とされる「レールガン(電磁砲)」の導入も検討すると述べた。抑止力強化へできる限り多くの手段を保有することも急がれる。

(1月14日 世界日報 社説より)

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