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家庭平和こそ世界平和の礎

地域社会発展の原動力は家庭

医療法人社団真愛会札幌ファミリークリニック理事長 鈴木 重裕氏に聞く

 医療法人社団真愛会札幌ファミリークリニックの鈴木重裕理事長は「家庭の平和こそ世界平和の礎」として家庭の健康・家庭再建を根底に医療活動に取り組んでいる。家庭の平和と世界平和の関連性について鈴木理事長に聞いた。
(聞き手=湯朝肇・札幌支局長)

癒やしと創造の場
多用すべき温かく肯定的言葉

グローバル時代を迎えた今日、世界平和が随所で叫ばれています。しかしながら、平和の実現は遠いと感じている人が多いのではないでしょうか。

 すずき・しげひろ 昭和32年、帯広市生まれ。札幌医科大学卒業。メルボルン大学医学部大学院修了。医学博士。専門は心身医学(心療内科、内科、小児科、産婦人科、精神科)。函館五稜郭病院、市立室蘭総合病院、札幌医科大学医学部助手などを経て平成14年に医療法人社団真愛会札幌ファミリークリニックを開院し現在に至る。高知大学医学部臨床教授(兼任)。

 世界平和を唱えることに反対する人はいないと思います。誰に聞いても「世界平和は必要ですね」と言うでしょう。国連でもSDGs(持続可能な開発目標)を定めて世界平和のためのさまざまなプロジェクトを展開しています。こうした活動に誰も反対はしません。ただ、仮に国が平和になったとき、また世界が平和になったとき、次のような質問をすることができると思います。「世界はいま、戦争のない平和な世界になりました。ではあなたの家庭は平和ですか」と。こう質問されたとき、皆さんはどう答えるでしょうか。世界の平和は実現したと言われているにもかかわらず、必ずしもそうなっていない自分の家庭に気付くのではないでしょうか。

 つまり、世界平和が実現しても自分の家庭が平和でなければ意味がないということなのです。私は世界平和が行き着く先、世界平和が超えていったところに実は家庭の平和があり、そうした平和な家庭が地域社会を構築し、さらなる広がりを見せることで世界平和につながっていくのではないかと考えています。そうした観点からすれば、国連などではさまざまな分野で世界平和を推奨しますが、家庭の平和に焦点を合わせた取り組みがまだまだ十分ではないと考えています。国の施策を見ても地域の安全・安心を声高に打ち上げますが、平和をつくり出す根源的な場である家庭の在り方を十分に議論し、平和な家庭の実現に取り組んではいない、と日々の診療で感じます。

こちらの診療所は来年で開院20周年になると聞きました。この間、どのような思いで医療活動に取り組んでこられたのでしょうか。

 私たちの診療所は「医療法人社団真愛会札幌ファミリークリニック」と言います。ファミリークリニックの原点は個人一人ひとりの心と体の健康はもちろんのこと、家庭もまた健康でなければ個人の健康・幸せはない、ということを開院の原点に置いています。平和な家庭を築くには家庭の一人ひとりが心(精神)と体(肉体)の両面で健康でなければなりません。一つ一つの家庭は地域コミュニティーを形成し、それぞれの社会、国、さらには世界と関連しながら生活を営んでいきます。世界平和というと話が大げさ過ぎると思われがちですが、一つ一つの家庭と世界の出来事は関連性があるのです。

現状では世界平和と家庭の平和という関連性が乖離(かいり)しているような気もします。また、世界平和というと、戦争のない状況をイメージしているのではないかと思います。

 戦争がない状態を平和というのは間違いでしょう。よく戦争反対とか核禁止運動を平和のためのという運動と言っている人がいますが、それだけで平和が実現するわけではありません。平和を構築する最も根源的な問題は何であるのか、そこに焦点を当てて考えなければならないと思います。その点がないがしろにされているため、平和がなかなか実現しないのです。

 人間一人ひとりは長い先祖とのつながりの中で家庭の中で命を持って生まれ、そこで育まれ、社会に巣立ち、社会、国、世界の一員として生活していきます。命を育てる場は基本的に家庭ですから、平和の根源は家庭にあるといってよいのではないでしょうか。こうした家庭の在り方、家庭の問題と世界の平和との関連性が現在、薄く捉えられているがゆえに、両者のつながりがイメージできない状況になっていると思われます。

 近年、心の病を訴える人が多いと聞きます。また、家庭内暴力や虐待などもマスコミで報道されますが、これらの事象は家庭の平和からほど遠いと言わざるを得ません。

 前述したように人間は心と体の両面から成っています。従って病気にも心の病と肉体の病がありますが、心の病を訴える人は増えています。その主な原因を見てみると、日常の家庭や職場でどのような言葉が使われているかということになります。言葉は心の表現ではありますが、言葉が感情をつくり出すので、言葉一つで剣にもなれば、癒やしにもなります。ところが、近年はパワハラやモラハラという言葉があるように暴力的あるいは否定的な言葉が蔓延(まんえん)しています。家庭の中でもそうしたネガティブな言葉が飛び交っているのではないでしょうか。

 本来、家庭は「癒やしの場」であり、「創造の場」であるはずです。そこが壊れていると人間の健康に支障が出てきます。否定的な言葉、ネガティブな言葉は人間の潜在意識に蓄積されていきますからとても危険で、改める必要があります。むしろ、肯定的な言葉、温かい言葉を多用することによって、本来の家庭の持つ癒やしの力を発揮すべきでしょう。ハワイの伝承ヒーリング法として四つの言葉―ごめんなさい、許してください、ありがとう、愛しています―を繰り返し言うことで潜在意識をクリーニングする「ホ・オポノポノ」はよく知られています。

潜在意識をクリーニングするとはどういうことなのでしょうか。

 私たちのクリニックでは心療内科、内科、婦人科、精神科を標榜(ひょうぼう)していますが、病気に共通していることはすべて「心の痛み」につながっているということです。体に痛みが発生すれば、心にも痛みが発生しますので、その痛みを取ってあげることが重要なことなのです。特に心の痛みが生じるときは医学的に左脳との関わりがあると言われています。脳には左脳と右脳があります。左脳は「分析脳」とも言われ、さまざまな情報が外部から入ってきたとき論理的に考える脳だと言われています。もちろん個人によって考え方の癖がありますから、癖がうまくいっているときはよいのですが、苦痛や悲しみ、怒りなどの否定的な感情が湧いてくると脳全体に抑制を加えようとします。限度を超えると本来持っている力で解決しようとしても難しくなり、悪循環に陥ってしまいます。ところがもう一つの脳である右脳は「イメージ脳」とも言われ、物事を全体的なイメージで捉えようとしますから、右脳をしっかり使えば左脳は休息できて痛みに対処できるわけです。

 右脳の働きを高める簡単な方法としては、癒やしの音楽を聴くことをお薦めします。気持ちが落ち着き、波長の合う音楽を聴くと右脳を通して潜在意識とつながり、さらに四つの言葉で潜在意識がクリーニングされるからです。大切なのは音楽を聴くときに時間と空間を超えた感覚を感じること。時空を超えた世界すなわち宇宙全体に人間がすっぽり入るという実感をすることです。

 従って、良い言葉、良い音楽、善い行いなどを通して個々人の潜在意識が生み変えられたときに平和な家庭となり、世界平和が実現できるとさえ思っています。

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