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ロシアの影響工作に備えよ

 先月末、ロシア連邦保安局(FSB)がアゾフ海でウクライナ艦船を拿捕(だほ)するという事態が発生した。この情勢はロシアが2014年3月、国際法に違反してクリミアを併合した結果だとする声が多いものの、いまだその背景など詳細は不明である。また、10月には米司法省は米国の政治に干渉したとしてロシア国籍の人物を訴追した。当活動にはサンクトペテルブルクに拠点を置く広告企業だが、ロシア政府のプロパガンダを担っているインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)も含まれている。

 一連のロシアの影響工作は他国の外交政策にも影響を及ぼし、民主主義を揺るがす根本的な要素となっているため、改めて紐解く。

 揺るぎないロシアの影響工作はメディアでも頻繁に取り上げられ、その効果を過大評価することは容易だ。しかしそれは違う。ロシアの軍事専門家は、ロシアが特に物理領域における欠陥を補うための方法として、影響工作を用いる作戦を提唱し続けている。

 われわれが目撃しているのは、ロシアが目標を達成するためのコスト効率の高い方法に重点を置いているにすぎない。虚偽情報が世界中の視聴者に躊躇(ちゅうちょ)することなく提供されるように、ソーシャルメディアを巧みに使用し、国の支配下にある確固としたメディアプラットフォームを利用している。

 しかし、ロシアには二つの弱点がある。第一に、現在、デジタル領域で行われているロシアの影響工作は西側の技術を使用している。第二に、ロシアが将来的にAI分野でリードすることを示すものはほとんどない。ロシアも米国をはじめ、おそらく他国家と同じ道筋をたどること―新たなAI技術を取り入れ、迅速に導入すること―は予想できる。しかし、フロントランナーにはなれそうもない。

 ここでわが国がどう対応するか、以下4点を提言したい。

 ①ロシア側の影響工作に使われる巧妙で断固とした幅広いツールボックスに備える(創造的な思考を養うこと)。政治指導者たちはこの脅威をまずは認識することである。プーチン大統領は西側民主主義に重大な脅威となっている。

 ②最も重要な事柄に焦点を当てる(全ての事態に備えることは不可能だと割り切ること)。広く世間一般の人たちにロシアの脅威を理解してもらうべく、クレムリンの行動様式や可能な政策オプションなどの基礎的な知識を提供する。

 ③デジタル領域での影響工作を規制し、従来の国際的な体制維持に積極的に関与。ロシアの影響工作が最も確立した国の統計を欧州連合(EU)等から取り、どこがクレムリンの誤情報話術を信じているのかデータを得るべく共同研究を行うべきである。同盟国間で国境を越えた作業部会などの仕組みを構築することが喫緊だ。

 ④認識レジリエンス(「想定外」の出来事が起きた際に抵抗し、そこから復旧、回復すること)。ロシアの敵対的な活動は徹底的に調査、およびもっと公表されるべきである。ロシアの国家を転覆させようとする働き、そして脅威について完全開示することは最も効果的かつ正当な方法だ。そして、国家首脳が毅然(きぜん)とした態度を取ることは無論だ。

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