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米露と北朝鮮、中東情勢 「世界新秩序」形成に備えよ

高まる北攻撃の可能性

 「世界新秩序」の形成が始まろうとしているのかもしれない。

 昨年11月末の北朝鮮ミサイル実験に関する米国内の反応は、もう北朝鮮が核を持っている前提で和解するしかないという論調が、保守系メディアでも有力である。それを阻止するには、中国に北朝鮮を占領させるくらいしかない。しかし、そのために必要な中国への金融制裁等の圧力には、クシュナー上級顧問のような、中国との経済・金融的取引で潤っているウォール街や産業界の代表者的な人物の影響力が、低下しなければ難しい。

 だが、それを実現できそうな状況が、12月初旬に起こった。ロシア疑惑に関係して、クシュナー氏がロシアとの共謀容疑で起訴される可能性が、フリン元国家安全保障会議(NSC)担当大統領補佐官の証言から、出て来た。それ以来クシュナー顧問の影響力は低下し続けている。

 その表れが12月18日発表のトランプ政権新外交政策だろう。その中では、中国に対する厳しい対応を謳(うた)い上げている。

 それ以前にトランプ政権は、エルサレムをイスラエルの首都と認める宣言を、行っている。これはクシュナーの力が落ちても、イスラエルを通じてロシアとの協調を行い易(やす)くするためではないか? 冷戦終結後にイスラエルは、ロシア系ユダヤ人の移民の増加で、パレスティナ独立を認められる状況にない。その結果として今のイスラエルは、米国とロシアの鼎(かなえ)のような、とても特殊な立場にある。

 ティラーソン国務長官の辞任は時間の問題であり、タカ派のポンペオ中央情報局(CIA)長官の昇格が予想される。もしも北朝鮮が米国ないし同盟国の領海近くでミサイルや核の実験を行えば、ポンペオは米国への攻撃と同等に見なし北への攻撃に積極的とも言われている。

 どうやら北との戦争は、不可避な情勢になっている。中国は親中派の幹部を粛清した金正恩を信用していない。今の北朝鮮のミサイルや核等の技術はロシアから移転されたと考えるのが自然だ。ロシアの協力が得られれば北朝鮮危機を乗り切れるかもしれない。

 だがトランプ政権はロシア疑惑の関係で、ロシアとの協力が表面上できない状況にある。そのためかクシュナーとライバル関係といわれるバノン元戦略顧問は、2017年12月17日の産経新聞のインタビューで、北朝鮮問題は中国の出方に懸かっていると述べている。バノンの宗教保守派的思想はピューリタン的信仰とユダヤ教が中心のものと言われている。その発想からすると、輸出等の利益や石油利権の問題はあっても中国やイスラムとの協調は難しく、逆に同じキリスト教国ロシアとの協力は望ましいのかもしれない。

 そのような宗教的な理由から、キリスト教保守派のバノンとユダヤ系のクシュナーの関係は、言われているほど悪くないかもしれない。この2人は、トランプのエルサレム首都認定宣言前後、頻繁に中東諸国を訪問している。そして彼らの訪問に次いで、プーチン大統領が同じ国を訪問する現象が何度も起こっている。

中東等の“線引”模索か

 トランプ=プーチン間で、中東等の“線引”を巡り新秩序形成が始まっている可能性がある。それは影響力の低下しつつあるクシュナーに代わり、イスラエルが影で調整役を果たしているのではないか。エルサレム首都認定の問題で米国は、中東諸国を敵に回したように見えるが、それが実相かは分からない。米露協力した新中東秩序が形成されつつあるかもしれない。その新秩序は中国や北朝鮮と米露との関係にも多大な影響を及ぼす可能性もある。この世界新秩序に日本は乗り遅れてはならない。

(敬称略)

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