ワシントン・タイムズ・ジャパン

オスプレイ搭乗レポート(下)

日本作家クラブ会員 学校法人SOLA沖縄学園役員 松谷 秀夫

操作の錬度が決め手に
 デッキで出迎えていたのは米海軍第7遠征打撃群副指令官ロバート・ホール大佐だった。甲板にはMV―22BオスプレイをはじめCH―53E重ヘリ、AH―1W攻撃ヘリスーパーコブラ、UH―1Y汎用ヘリ、AV―8Bハリアー垂直離着陸攻撃機など17~19機が整然と並んでおり即応態勢がとられている。まさに、海兵隊MAGTF(総合空陸海機動作戦)の最前線である。

ボノム・リシャール後部艦載機群(野中正信氏写真提供)

ボノム・リシャール後部艦載機群
(野中正信氏写真提供)

 艦上のスピーカーから絶えず指示が飛び交い、西側最大の重ヘリCH53Eなどが離艦着艦の訓練を繰り返していた。艦内の狭い階段を上り、最上階管制指揮センターでは数多くのレーダー画面で飛行コースや高度、離着艦の指示などの無線交信が行われていた。米国の名門通信機メーカーに交じり日本製の機器も散見された。近距離レーダーシステムは日本製だったが補助システムのようである。同じく上部デッキ操舵室も見学、自動化しコンピューター制御された極めて精密な操舵が行われていた。聞けばすべて「フライ・バイ・ワイヤー方式」(遠隔電気制御)で、出力や取りかじ、面かじも自在に軽く制御できるほか、平時の航行はGPSと連動して自動運転であるとのことだった。

 火器管制センターは取材ができなかったが作戦指揮所と軍事衛星、第7艦隊旗艦、護衛艦、空中管制指揮機(AWAX)と情報をリンクし、24時間態勢で監視、万全の備えになっているとのことである。さらに、超音速短距離ミサイル防衛のRIM―116近接ミサイルを艦首と艦尾に搭載、その他最終防衛手段としてファランクス接近防御システムがあり、標的を自動追跡、ガトリング砲から1分間に3000発を発射して接近ミサイルや航空機に対抗するとのことであった。

 最後に案内されたのはウエルデッキ(艦艇の船尾)の格納エリアである。ここは甲板デッキとエレべーターで航空機の収納が行われている。航空機の整備点検はここで行われる。さらに強襲能力に必要なホバークラフト型揚陸艇LCACが収納されており、海兵隊とその装備を世界の70%の海岸線へアクセスができる能力があるとのことだ。

 さらに水陸両用強襲車両AAV―7も積載されていた。これは完全装備の海兵隊員最大25人を海上・陸上移動でき12・7㍉重機関銃が装備された砲塔が搭載されている。上陸用舟艇LCUも積載している。LCUは揚陸部隊の人員や装備を陸上へ移動させ、また民間の人道支援や洋上任務における支援、貨物や車両を上陸地点に輸送すると担当士官の説明があった。

 乗組員は1200人、海兵隊員1800人とのことである。艦内に医療施設として手術室6部屋を含む600床を備えている。ボノム・リシャールはワスプ級では最大で、長さ257・3㍍、幅32・3㍍と説明された。格納中のAV―8BハリアーやMV―22Bの迫力はまさに圧巻である。垂直離着航空機搭載の洋上作戦展開艦隊は海兵隊の特徴である陸海空総合機動作戦の集約された最強の即応遠征展開能力である。

 再び、いくつもの狭い通路と階段を上がり、軽食後、甲板デッキのオスプレイに再搭乗して普天間基地に帰還した。今回の取材を通じて、訓練とはまさに熟練した技術の取得、研鑽であり、いかなる優れた性能を有する航空機や機材であってもそれを操作する側の錬度がなければ性能を発揮することはできないと痛感した。

 普天間基地に配備されているオスプレイは2個中隊24機だが、そのうち12機は常に洋上配備となっている。ちなみに配備機は輸送、補給、人道支援などに特化しており武装装備はされていない。これらを考察すれば、普天間基地は西太平洋、東シナ海に展開する米軍のオペレーションに組み込まれている重要な施設であることが理解される。わが国を取り巻く国際情勢は格段と厳しくなっている。辺野古移設なき普天間基地の運用停止は米軍の編成や作戦の全面変更を行わなければならず、それによる西太平洋および東シナ海の軍事的空白は絶対に避けなければならない。

5

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。