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親の経済格差が子供の進路や健康格差に影響

 沖縄県はこのほど、県内の高校2年生とその保護者の生活実態を報告した「令和元年度沖縄子ども調査」を発表。親の経済格差が子供の進路や健康格差に直結している実態が明らかになった。3年前の初回調査と変わらず、教育面での厳しい経済状況が鮮明になっている。(沖縄支局・豊田 剛)


県が「元年度沖縄子ども調査」を公表、初回調査と変わらず

 「進学したいが、その負担が親を苦しませないか不安」「バイトがブラックすぎてヤバイ。休みがない(中略)お願いです。たすけて」「沖縄はとにかく収入が低い。どうにかしてほしい」

 沖縄県が行った高校生調査報告書には、厳しい経済状況にあえぐ親子の悲痛な声がつづられている。

親の経済格差が子供の進路や健康格差に影響

沖縄県内の高校2年生とその保護者の生活実態を報告した「令和元年度沖縄子ども調査」の結果を発表する沖縄大学の山野良一教授(右)=沖縄県庁で(豊田剛撮影)

 調査は沖縄大学福祉文化学科の山野良一、島村聡両教授が調査・分析。部分的に東京都と比較した。新型コロナウイルスの感染拡大による休校でオンライン学習環境がこれまで以上に必要になっている中、非困窮世帯も含めて県内の生徒には対応できる学習環境が乏しいことが明らかになった。困窮世帯は、全体の20・4%でそのうちの約半数の世帯がひとり親家庭。

 「持ちたいが持っていない」物品として「インターネットにつながるパソコン」を挙げた生徒は困窮、非困窮を合わせて37・5%で、東京都の2倍に上った。電子辞書も同様な結果が出た。

 公立高校の授業料は多くの世帯で無償化されているが、教科書や電子辞書、制服などの費用や通学費などの負担に苦しむ声は多い。困窮世帯では何らかの奨学金を利用する人が36・3%で、3人に1人に及んだ。また、非困窮世帯でも13・5%が奨学金を利用していた。

諦める沖縄の高校生、教育面での厳しい経済状況が鮮明

 将来の進路について、経済的理由で進学を諦める実態が浮き彫りになった。困窮世帯では「大学まで」を理想の進路とする生徒が45・0%だったが、「現実的」とする生徒は33・7%に減った。非困窮世帯でも、大学を理想とする生徒が57・4%で「現実的」とする生徒は6ポイント減る結果になった。進路について理想と現実で違う選択をした理由については、困窮世帯では「お金が心配」が8割で最も多かった。

 2020年度から導入される大学など高等教育の「無償化」制度について、生徒の79・4%が「知らない」と回答。制度が進路選択に影響があるかどうかを尋ねる質問に対しては「ある」と答えた生徒は困窮世帯で53・9%を占めた。同じ質問で保護者では、困窮世帯で74・0%に上り、非困窮世帯(47・6%)と比べ26・4ポイントの大きな差が出た。学費が賄えるなら子供を進学させたいとの思いが表れた。

 調査では、全体の34・8%の生徒がアルバイト経験があると答えた。日数や時間について、学校がある平日に働く日数は「3日」が最も多く28・6%で、「4日」は13・8%、「5日」も4・7%いた。アルバイトが原因で放課後の部活動や家庭学習の時間の確保が困難であることが分かる。

 困窮世帯における健康面の問題も浮き彫りになった。SNS・ゲームの使用時間では、1日当たり「6時間以上」が困窮世帯で6・1%で非困窮世帯の倍いた。「必要と思う時に医者にかかることができるか」という設問では、「できない」という回答が非困窮層3・3%、困窮層8・1%で2016年東京都調査の1・7%に比べて、約2倍または5倍だった。

 困窮世帯では野菜を「1日1回以上食べる」と答えた生徒が42・1%にとどまっていた。非困窮世帯でも、その割合は52・6%で東京都の88・4%と比べ極端に低い数値となった。一方で、コーラやソフトドリンクなど甘い飲み物、インスタントラーメンやカップめんなど、安価で糖質の多い食品の摂取率が高かった。分析した沖縄大学健康栄養学部の我那覇ゆりか講師は「ビタミンや食物繊維が多い野菜は積極的に取ってほしい」とし、健康への影響を懸念した。

ゆとりなき世帯への支援と無料塾・相談窓口の周知が課題

 報告書は、非貧困世帯でも経済的にゆとりがない世帯が多く、「これらの世帯にも手が届く仕組みに変えていくことが今後の課題」とまとめている。また、県が実施する無料塾と貧困世帯向けの相談窓口の周知は喫緊の課題だとした。

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