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成果なかった玉城デニー沖縄県知事の米国訪問

連邦議会議員10人と面談、辺野古移設阻止に合意得られず

 沖縄県の玉城デニー知事は14日から19日の日程で、米国を訪問した。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対を伝えるのが目的だが、成果のないまま帰国した。政府との移設協議も平行線のままで、両者の歩み寄りの見通しは立っていない。(沖縄支局・豊田 剛)

政府との話し合いも平行線、不適切会食問題は会見で謝罪

 「敵前逃亡ではないか」。自民党沖縄県連は15日、玉城知事が県議会9月定例会の最終日を欠席して渡米したことに強い憤りを示した。

成果なかった玉城デニー沖縄県知事の米国訪問

業者との会食は不適切だったと謝罪する玉城デニー知事=10月10日、沖縄県庁(豊田剛撮影)

 玉城氏は10日の定例記者会見で「県議会や県民の皆さまに多大なご心配やご迷惑をお掛けしたことをおわび申し上げる」と謝罪した。玉城氏が目玉事業として立ち上げたばかりの「万国津梁(しんりょう)会議」で、設置支援業務を委託した事業者と契約日前日に会食していたことが明らかになったからだ。自民党沖縄県連は徹底して玉城氏を追及する構えだった。

 ところが、それをかわすタイミングで、玉城氏は米国に出発してしまった。今年2月の県民投票で、名護市辺野古の埋め立て反対が過半数の民意を得たことや、埋め立て地の大浦湾で軟弱地盤が見つかったことを米国側に伝えるのが主な目的だった。現地時間14日~16日にカリフォルニア州サンフランシスコに寄った後、16日~19日に首都ワシントンを訪れた。翁長前県政が2014年に誕生して以来、訪米行動は恒例になっている。

 カリフォルニア州では、スタンフォード大学で県主催の講演会を開き、元駐日米国大使2人とも面会した。

 ワシントンに移ってからは、3日間で10人の連邦議会議員と会った。県によると、そのうち4人は国防予算の大枠を決める国防権限法案を協議する議員だ。同法案には、在沖米海兵隊の分散移転計画の見直しが盛り込まれる可能性あるため、県としては関係する議員との面談に注力した。

 民主党の下院議員の2人は元海兵隊員だ。ルーベン・ガリエーゴ下院議員は民主党内のリベラル派の議員連盟「プログレッシブ・コーカス」の副議長を務める。セス・モールトン下院議員はイラク戦争の帰還兵。イランへの米軍派遣に反対している。

成果なかった玉城デニー沖縄県知事の米国訪問

河野太郎防衛相(左)に要望書を手渡す玉城デニー知事=9月29日、沖縄県庁(豊田剛撮影)

 マーシャ・ブラックバーン上院議員(共和党)は上院軍事委員会メンバーの1人として今年5月に来日し、河野太郎外相(当時)と面談。沖縄の負担軽減を目的に、在日米軍再編の推進を確認した。ドン・ベーコン下院議員(共和党)も軍事委員会に所属。地元ネブラスカ州の空軍基地から北朝鮮警戒などを目的とした偵察機が嘉手納基地に飛来している点では沖縄とつながりがある。

 玉城氏は4氏に対し、国防権限法案の条項に辺野古の見直しも含めるよう要望したが、積極的な提案は出なかったという。県庁筋によると、議員らには沖縄訪問を要請し、年内にも来沖する可能性のある議員もいるという。

 国防総省では国防長官府筆頭部長東アジア担当のメアリー・ベス・モーガン氏、国務省では東アジア太平洋局日本部長代行のテッド・シーガー氏と会った。両省ともに面談者は前回より格下となった。

 そもそも、県は辺野古の代替案を用意しておらず、日米両政府による決定事項を県知事が異議を申し立てることに無理があることは否めない。

 10日の記者会見で、宜野湾市などで辺野古移設を推進する動きがあることについて尋ねられた玉城氏は、「辺野古移設に固執することは、普天間飛行場の(危険性除去などの)問題を長期化させることにならない」と述べた。

 日米合意では、移設作業が終わらない限り、普天間飛行場はそのまま置かれ続けることにる。「日米安保は容認の立場」と自認する玉城氏だが、辺野古移設に関して整合性の取れない発言が目立つ。

 政府との話し合いも平行線のままだ。9月29日に河野太郎防衛相と面談した玉城知事は県民投票の民意を根拠に、辺野古移設を断念するよう求める要望書を手渡した。これに対し、河野氏は「普天間飛行場の危険性除去は一日も早い全面返還が一番の対策。辺野古移設をしっかり進める」と述べ、両者の認識の溝は埋まらなかった。翁長前県政以来、辺野古移設をめぐり互いに一歩も歩み寄っておらず、膠着(こうちゃく)状態が続いている。

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