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反基地政治ショーと化した「慰霊の日」式典

 「安倍帰れ」「辺野古反対」

 やじと怒号、そして、過剰な拍手と指笛が入り混じっていたのは、23日、沖縄県糸満市の沖縄県平和祈念公園で開かれた沖縄全戦没者追悼式での一コマだ。戦没者を追悼するにはふさわしくない言動だが、一部の人々には通用しないようだった。

慰霊の日1

県職員は「大声等をあげる場合は退席してもらいます」と書かれた看板を掲げるも効果なかった=23日、沖縄県糸満市の沖縄県平和祈念公園

 平和宣言では、玉城デニー知事が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を口にした。「沖縄県民の大多数の民意に寄り添い、辺野古が唯一との固定観念にとらわれず、沖縄県との対話による解決を強く要望する」と述べると、会場には大きな拍手と指笛とともに「そうだ」の声が飛び交った。演説後もしばらく拍手は鳴りやまなかった。

 平和宣言で、基地問題での政治批判が盛り込まれるようになったのは、2014年に翁長雄志前知事が口にしてからのこと。それ以来、式典では辺野古移設に反対する活動家の姿が目立つようになった。

 一方、来賓を代表して安倍晋三首相が、「沖縄は、米軍基地の集中による大きな負担を担っている。基地負担軽減に向けて、確実に結果を出していく決意だ」と述べると、会場の後方に座っていた男性らが「辺野古反対」「帰れ」と叫んだ。

慰霊の日2

平和祈念公園入口の交差点で掲げられた横断幕=23日、沖縄県糸満市の沖縄県平和祈念公園

 また、平和祈念公園入口の交差点には、反基地活動家が「安倍政権 沖縄・慰霊の日に参加する資格なし」「沖縄人民解放 天皇上陸阻止青年実行委員会」と書かれた横断幕を掲げ、黒塗りの車列が通るたびに、「帰れ」「来るな」と怒号を浴びせていた。

 県当局は、「式典の最中は発言しないよう呼びかけ、大声をあげる人には退出を求めている」というが、この日もマナー違反者は続出。それどころか、式典会場のテントのすぐそばで、辺野古移設反対を呼びかけるビラを配布する女性まで現れた。

 元県職員は、「厳粛さがなくなり、革新系政治イベント化している」と懸念を示した。この日のため本土から取材に訪れていたある記者は、「やじは言語道断だが、追悼式典で拍手が起きること自体、聞いたことない」とあきれていた。

 式典開始前に司会者が式典中の発言を控えるよう促すことはできたはずだ。また、閉会の辞で、主催者を代表して副知事が一言、「参列者に不快な思いをさせ申し訳ない」お詫びすることもできたはずだ。

(沖縄支局・豊田 剛)

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