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玉城氏当選で普天間返還さらに遠のく

 「翁長知事の志を継ぐ」―。「オール沖縄」が推す玉城デニー氏は遊説で毎回強調した。玉城陣営の出版物にもこの言葉が並び、玉城氏よりも翁長雄志氏の写真が大きく扱われた。どちらが候補か見まがうほとだった。

 選挙演説では、玉城氏や応援弁士も翁長氏に言及するなど、“弔い選挙”の色合いを濃く打ち出した。選挙戦後半には翁長氏の妻・樹子さんが涙を流しながら支援を訴え、県民の情感に訴える戦術を駆使し共感を集めた。

 政党の枠組みを超えた「オール沖縄」体制をできるだけ維持するため、革新政党の影響をできるだけ排除する選挙戦に徹した。玉城氏は遊説で、革新系国会議員と同行することはなく、“共産党隠し”に成功したといえる。

 成長するアジア市場を取り込むことを前提に、「玉城氏は補助金に頼らない自立型経済の構築」を公約に掲げた。公約にある子供医療費助成の完全無料化や中高生のバス代無料化の財源をどう確保するのか、今後、県政運営の手腕が問われる。

 一方、佐喜真氏は政府・与党に頼りきりの戦術だった。前回自主投票だった公明党が全面的に支援を表明したことに加え、維新が相乗りしたが、知名度不足を補うに至らなかった。

 自民党は二階俊博幹事長、菅義偉官房長官、小泉進次郎筆頭副幹事長といった幹部が沖縄に入って組織的に佐喜真氏の支援を呼び掛けた。公明は自民をも上回る運動量で、電話かけ作戦と期日前投票の呼びかけを徹底したが、こうした票固めの手法に県民が反発した可能性は否めない。

 1996年の普天間飛行場の移設合意後、当事者の県と宜野湾市、名護市が保守政権で一致するチャンスだった。今後、辺野古埋め立て承認「撤回」に伴う国との裁判が始まる。反対運動の激化も予想される。移設工事及び普天間飛行場の返還時期がさらに遅れることは避けられない。
(那覇・豊田 剛)

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