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「行政判断」という名の「政治的判断」 辺野古埋め立て承認撤回

 9月30日の沖縄県知事選を1カ月後に控えた8月31日。翁長雄志知事がやり残した仕事である、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古の埋め立て承認撤回のカードをついに切った。

謝花喜一郎氏(右)と富川盛武氏

埋め立て承認撤回の記者会見に臨んだ謝花喜一郎氏(右)と富川盛武氏=8月31日、沖縄県庁

 沖縄県の富川盛武、謝花喜一郎の両副知事は記者会見で、埋め立て承認撤回について、「あくまでも行政判断に基づくもので、政治的判断は一切ない」と強調した。果たして本当にそうなのか。

 謝花氏は、「翁長雄志知事の熱い思いを受け止め、法に基づき適正に判断した」と述べた。翁長氏の後継候補として出馬した玉城デニー氏について謝花氏は、「辺野古移設阻止を進める発言をしている。翁長雄志知事の遺志を引き継いでいる」と述べ、玉城氏に期待を示す発言をした。

 質疑応答では、「撤回について玉城氏と何らかの意見交換をしたか」と問われた謝花氏はこれを否定したが、同日夜、玉城氏は謝花氏と撤回をめぐり「情報交換」したことを認めている。両者の整合性が求められるとともに、「政治的判断」のそしりは免れない。

 また、対抗候補の佐喜真淳元宜野湾市長が知事に当選した場合の対応について聞かれた謝花氏は、「行政の連続性」について指摘し、撤回を取り消すことはないと強調した。仲井真弘多前知事が行った埋め立て承認を取り消すことによって、行政の継続性を否定したのは翁長県政だった。これについての説明は一切ない。埋め立て承認をめぐる県の姿勢は行政が変わる度に変更することは「行政の連続性」ではないことは明らかだ。

 意外にも、防衛局関係者は、このタイミングの撤回を冷静に受け止めている。埋め立てのための土砂投入は8月17日を予定していたが、悪天候が重なるなどの理由で延期していた。ここにきての翁長氏の死去と前倒し知事選だ。「撤回」という大義名分で土砂投入を阻止されたことは「想定内」だと言う。

 知事選前の「撤回」を決断させる要因のひとつは過激な反基地主義者だ。何度も県庁に押し寄せ、謝花氏らに撤回を迫っている。ある与党県議は、「撤回判断で知事選がどうプラスに働くか分からない」と困惑している様子だった。

(那覇支局・豊田 剛)

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