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リベラル会派離脱で革新候補選びが混迷―沖縄知事選

 沖縄県議会与党の革新リベラル会派「おきなわ」は20日、8日に死去した翁長雄志知事が残した後継者選びに関する音声データについての信ぴょう性に疑いを抱き、音声が開示されるまでは知事選の人選を進めている調整会議に出席しないことを同会議の照屋大河議長に伝えた。

翁長知事の追悼集会の色合いが濃かった「県民大会」で次男の翁長雄治氏は雄志氏の帽子を空席の椅子に置いた=11日、沖縄県那覇市の奥武山陸上競技場

翁長知事の追悼集会の色合いが濃かった「県民大会」で次男の翁長雄治氏は雄志氏の帽子を空席の椅子に置いた=11日、沖縄県那覇市の奥武山陸上競技場

 翁長氏が亡くなる数日前に録音されたとされる音声データでは後継として建設流通大手の金秀グループ会長の呉屋守将氏と衆院議員の玉城デニー氏(沖縄3区、自由党)の2人の名前が挙がったとされる。

 調整会議のメンバーのうち、音源を聞いたというのは新里米吉県議会議長だけだ。18日に音源の存在が明らかになるや否や、「遺言があった」とし、候補者選考は振り出しに戻った。

 調整会議はその前日、翁長氏を支えてきた政党、団体、企業が候補者の無記名投票を行っていた。その結果、呉屋守将氏、副知事の謝花喜一郎、富川盛武両氏、前名護市長の稲嶺進氏、県議の赤嶺昇氏(おきなわ)の5人が挙がったが、意見がまとまらなかった。5人のうち、意欲を示していたのは赤嶺氏だけだった。

 関係者の1人は、「音源は翁長知事の遺言の類ではなく、世間話として語ったものを録音したものにすぎない」と語る。候補者選びで難航する革新陣営が翁長氏の音源を「遺言」として利用することで「弔い合戦」に持ち込み、県民の同情を得ようとした作戦ではないかと指摘する。それを仕掛けたのは、社民と共産という訳だ。

 この結果、革新県政を支えてきた3本柱(社民、共産、おきなわ)の1本が「オール沖縄」から離脱することが確定的になった。翁長県政を支えてきたホテルグループも20日までに県知事選は「自主投票」とすることを決めた。

翁長雄志氏の告別式に参列した自由党の小沢一郎共同代表=13日、沖縄県那覇市の大典寺

翁長雄志氏の告別式に参列した自由党の小沢一郎共同代表=13日、沖縄県那覇市の大典寺

 「指名」された張本人の玉城氏は20日、ラジオ番組に出演し、「まだ正式に出馬を決めていないが、今週中に発表する」と話した。出馬の条件として、呉屋氏が選対本部長となることと選挙資金が確保できることを挙げた。

 自由党の小沢一郎共同代表からは「出るからには勝つ。支援体制を確立する」よう求められたという。ここにきての会派おきなわの離脱で、「オール沖縄」が分裂し、玉城氏が出馬する環境は厳しくなった。

 知事候補選びが難航する中、「音声データ」で分裂気味の革新陣営の気持ちを一つにしようとしたのかもしれないが、「結果的には大恥をかいた」と前出の関係者は話す。「弔い合戦」を強調しすぎた結果、革新陣営の分裂が加速したのであれば、翁長氏は浮かばれない。

(那覇支局・豊田 剛)

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