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平昌五輪で「北の微笑外交に惑わされるな」北朝鮮拉致問題劇が沖縄公演

拉致被害者の救出を願って山口采希さんが熱唱した=10日午後、沖縄県宜野湾市

拉致被害者の救出を願って山口采希さんが熱唱した=10日午後、沖縄県宜野湾市

 横田めぐみさんが中学1年生当時、新潟の海岸で拉致されてから現在に至る拉致問題の経緯と、めぐみさんや田口八重子さんたち拉致被害者の北朝鮮での生活を描いた拉致問題啓発舞台劇「めぐみの誓い―奪還―」が10日、沖縄県宜野湾市で上演され、約500人(主催者発表)が鑑賞した。中には、拉致の可能性を排除できない特定失踪者の家族の姿もあった。

 公演中、涙ぐむ観客が多かった。終盤、横田夫妻がめぐみさんら拉致被害者の救出にかける思いを語るシーンでは、客席から「頑張れ」という掛け声がかかった。めぐみさんの父親滋さん役の原田大二郎氏は、「ありがとうございます」とアドリブを入れた。

 公演に先立ち、劇団「夜想会」主宰で脚本を書いた野伏翔さんが登壇し、「家族の絆を断ち切る人々を許さない。演劇を通じて少しでも問題解決の力になれば」と期待を示した。

上演に先立ちあいさつする劇団「夜想会」主宰の野伏翔氏(右)=10日午後、沖縄県宜野湾市

上演に先立ちあいさつする劇団「夜想会」主宰の野伏翔氏(右)=10日午後、沖縄県宜野湾市

 野伏氏が拉致問題を扱うようになったきっかけは、「小泉政権の時に拉致被害者の一部が帰国したが、それ以来、たいした進展がなく、調べるうちに収容所国家・北朝鮮の恐ろしさを知った」ことだ。

 「拉致されても解決できない日本の不甲斐なさ」を痛感する野伏氏は、沖縄で公演するにあたり、「沖縄は国境の地域、劇を通じて自由を奪われることはどういうことか考えてほしい」と呼びかけた。

 また、内閣審議官の岡本宰(つかさ)氏は、横田めぐみさんが拉致されて40年になるが、「解決できないことを政府として申し訳ないと思う」と謝罪。昨年には被害者家族2人が亡くなり、「一刻も猶予がない」と危機感を募らせた。

 また、北朝鮮がミサイル実験を繰り返すことについて「人権・人道上、許しがたく断じて容認できない」と指摘。開催中の平昌五輪で北朝鮮が韓国と合同チームとして参加していることについては、「北朝鮮の微笑外交に惑わされてはならない」と警鐘を鳴らした。

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迫真の演技で、観客は涙を禁じ得なかった=10日午後、沖縄県宜野湾市

 公演に先立ち、シンガーソングライターの山口采希さんが、拉致被害者に思いをはせて「空と海の向こう」を熱唱。歌い終わった後、「一刻も早く、この歌を歌わなくて済む日が来ることを願う」と話した。

 現在、日本政府は拉致被害者17人を認定しているが、拉致の疑いがある行方不明者は883人(平成30年1月28日現在)に上る。そのうち、沖縄県出身の特定失踪者は26人(沖縄県警公表分)で、人口比率で全国で2番目に多い。

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