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消費不振でも「消費税10%なら軽減税率を」と説く読売の歯切れ悪さ

◆来年の増税を不安視

 「景気後退入りの可能性/内閣府 8月指数、判断引下げ」――本紙8日付7面のトップ見出しである。8月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が2カ月ぶりに悪化。内閣府は基調判断を「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正し、景気が後退局面入りした可能性が高いことを暫定的に示した。  その隣は日銀の金融政策決定会合の記事で、「生産に『弱めの動き』/緩和継続、必要なら追加策」の見出し。  その後も、「消費者心理2カ月連続悪化/9月 基調判断、再び引き下げ」(11日付本紙7面見出し)などと、芳しくない経済ニュースが続く。  そんな状況でも、各紙に国内景気に関する社説は、2日付の日銀短観に関するもの以来なかった。ただ一紙、読売が12日付で、通常2本立ての枠に1本の大社説で、「『消費税10%』/やはり軽減税率が不可欠だ」を載せ、目を見張ったが、内容はいまひとつ歯切れが悪かった。  見出しをみると、来年10月の消費税率10%を支持したようだが、そうではない。「さらなる消費増税が、景気の停滞に追い打ちをかけることはないか」と心配し、「財政再建は先送りできない課題だが、今年4月の消費増税後、消費の低迷が続いていることを軽視してはならない」が趣旨なのである。だから、「消費税10%」は仮定の話で踏み切るなら、食料品など必需品の税率を低く抑える軽減税率を導入し、家計の負担を和らげるべきだというわけである。  同紙は、2日付の日銀短観に関する社説でも、その文末に「再増税に踏み切るのなら、…軽減税率を導入し、…」と同様に記している。この時の見出しは、「景気回復の足取りはまだ重い」である。

 9月の日銀短観は、景況感を示す大企業・製造業の業況判断指数が1ポイント改善したが、内需への依存度が高い大企業・非製造業は6ポイントと大幅に悪化し、中小企業は製造業、非製造業とも2四半期連続で指数が低下。3カ月先の予想は大企業も中小企業も、景況感の変化は横ばい圏だった。  このため、同紙は「消費税率引き上げ後の景気減速は長引くのではないか。そんな懸念を抱かせる内容である」と評し、政府・日銀に対して、「景気の緩やかな回復シナリオを描いているが、楽観は禁物だ。日本経済の変調に対する警戒を強め、景気最優先の政策運営に徹してもらいたい」と注文を付けたのである。  日銀短観に関する社説は、産経を除く6紙が掲載。このうち、来秋の再増税について判断を示したのは東京と本紙(4日付)。東京は景気腰折れを防ぐために「見送るべきだ」とし、本紙は「実施できる状況ではない」とした。  日経も触れはしたが、再増税実施是非のため「景気の動向を慎重に見極めるのは当然だが、その間に政府がやるべきことはたくさんある」として、公共事業の円滑な執行や法人減税の具体策の詰め、規制改革の加速を訴えた。  もっとも、日経の主張には再増税実施までにそうした成長戦略の実行で景気を下支えできるかどうか疑問が残る。4月の増税では5・5兆円の経済対策などが実施されたが、それでも想定以上に内需不振が長引いているからである。  12日付の読売社説は、再増税の場合は「大きな影響を受ける消費の動向に、特段の注意を要する」として、「消費不況」の防止に有効な対策の検討を求めた。それが軽減税率というわけだが、それで「景気が腰折れし、デフレを脱却できなくなっては、元も子もない」とする増税の影響をどこまで防げるのか。


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