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産経の措置命令法違反の新聞販売を第2社会面トップに載せた読売

◆匿名通報で不正発覚

 かつて新聞業界では熾烈(しれつ)な販売競争が繰り返されていたが、すわ、その再燃かと思わせるような記事が出ている。

 読売新聞10日付第2社会面トップの3段見出し「産経 過剰景品を継続/新聞勧誘で/19年措置命令後も」で、「産経新聞社(東京)は9日、購読契約した相手に景品表示法の制限を超える景品を提供していたと発表した」と報じた。

 日本新聞協会に今年3月、景品提供についての匿名通報があり、協会が同社に対処を要請。同社が設置した外部の弁護士らでつくる調査委員会が報告書をまとめた。それによると「産経新聞大阪本社販売局と販売店は、大阪府から19年3月に措置命令を受けた直後から、米やビールなど限度額以下の景品を複数組み合わせ、総額では上限額を超える景品を渡していた」「大阪販売局長(当時)は社内外の会議で、違反行為を推奨、容認する発言を繰り返していた」という。

 一方、当の産経は同日付第3社会面でサブ扱い。「本社、措置命令後も違反/新聞購読で制限超える景品 大阪府に調査報告」の3段見出し、「令和2年4月の大阪本社販売局内の会議において当時の大阪販売局長が単品では制限額内の景品を複数用いて制限額を超える景品を提供する『重ね使い』といわれる方法を推奨する発言をしたほか、違反が発覚しないように購読契約書を偽装する方法を指導する発言もした」(同報告書)とやや詳しい。

 読売では「措置命令に違反した可能性があるとして、同法違反容疑での刑事告発も視野に調査を進める」と今後の大阪府の捜査見通しを載せているが、産経にはない。

 新聞販売に関することで、新聞関係者にとってはとても見過ごしにできない問題ということで、読売では第2社会面トップ扱いになったのだろう。

 しかしその一方で、読者には唐突感が否めない記事内容ではなかろうか。ふつう、消費者を巻き込んだ企業の不祥事が勃発すれば、世間のうわさが立ち、その被害の実態が部分的に明るみに出た時点で、やっと調査委員会が立ち上がり、調査報告ということになる。ところが、今回いきなりの調査報告のニュースである。

 今年3月、消費者の匿名通報があったというが、どんな内容だったのか。新聞協会の連絡で、急ぎ調査委員会を立ち上げたぐらいだから、消費者の実害の程度、それに対する認識はかなりあったはずと推測されるが、その内容が紙面には全然出ていない。

◆顰蹙買った販売合戦

 かつて「拡販戦争」とまで言われた全国紙の過当な販売競争。○○軍団とか“本社直轄”を冠して呼ばれた“拡販部隊”で、本社や各販売店の要請によって各家庭を回り新聞購読を募った。何十人もの人員を抱える部隊では、ワゴン車何台にも乗り込み地方への遠出も行った。

 その際、多く問題となったのは、「シバリ」という勧誘法。1カ月、3カ月、1年、…とその新聞契約期間は消費者が自由に決められるのに、高額の景品を渡し、「では1年でよろしく」という言葉を残し、契約書にも三文判を押しておく。それを知らずに断りを入れると、「それはできない」「景品代を返してくれ」となる。かなり悪質で世間の顰蹙(ひんしゅく)を買った。

 今回、そういうケースはなかったのか。産経は19年3月にも「措置命令」を受けているが、この時は景品に約8万1000円相当の電動アシスト自転車などが含まれ、高額景品の件数が多く、それらが長年にわたり提供されていたということだった。再び、組織ぐるみの違反となったのは、同新聞の金城湯池(きんじょうとうち)の大阪を死守するというようなことだったのか。消費者そっちのけの拡販競争再燃の気配はないのか。

◆消費者に注意喚起を

 産経は当事者なので、そこらは何とも書きにくいだろうが、読売は今回の景品法違反の具体的内容を書いて、一般消費者に大いに注意、用心を喚起すべきだった。

(片上晴彦)

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