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反対意見を「差別」とするLGBT運動の独善性露呈させた毎日


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◆良識的な「山谷発言」

 自民党が今国会での成立を目指すLGBT(性的少数者)理解増進法案に「差別は許されない」という一文を入れた原案に、保守派から強い反対の声が上がり、24日に再度議論することになった問題。LGBT支援に力を入れる新聞がどう報じるか、関心を持って読んだが、案の定、この問題への深掘りはなく、反対議員を悪者扱いして、反対意見を封殺しようとする報道が目立った。

 極め付きは「毎日」だった。22日付26面で「自民議員LGBT差別」という大見出しを打った上、リードで「自民党で20日に開かれた会合での出席議員からの差別発言や、会合後の山谷えり子参院議員の発言に対し、批判の声が高まっている」と報じた。

 では、山谷氏はどんな発言を行ったのか、と思い記事を読んでみると、非難されるような発言はどこにも出てこない。毎日の記事は、同氏の発言を次のように伝えている。

 「アメリカで学校のトイレで、いろんなPTAで問題になったり、女子の競技に男性の体で心は女性だからっていって参加して、いろいろメダルをとったり、そういう不条理なこともあるので、少し慎重に。社会運動化・政治運動化されると、いろんな副作用もあるんじゃないでしょうか」

 その上で「日本の国柄に基づいて、世界のモデルになるような理解増進法をつくりたい」と述べている。

 LGBT当事者のうち、「T」つまりトランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)が抱える問題の一つとして、男・女用どちらのトイレを使うべきかというのがあり、米国の学校では、実際に混乱が生じている。また、体は男性で、女性と自認する人が陸上競技に出場してメダルを獲得するということも起こり、スポーツにおける「公平性」も議論されている。

 つまり、山谷氏はLGBT理解増進法を制定するなら、米国で起きている事態を参考にしながら、混乱が起きないように慎重に検討すべきだ、と良識的な発言を行ったにすぎない。

◆レッテルを貼り封殺

 ところが、毎日の記事からは、LGBT当事者らが始めた、発言撤回を求めるネット署名運動の声明文を紹介することで、山谷発言を「悪質」にしてしまう作為がうかがえる。

 「トランスジェンダーの実態を無視し、トランスジェンダー女性がさも不正を犯して侵入してくるかのような、あまりに悪質な発言」というのがその声明文だ。実際の山谷発言と、声明文の差に唖然(あぜん)としてしまうが、実は、この独善性が現在のLGBT支援活動の最大の問題点なのである。表向きは、「多様性を認める寛容な社会」の実現をうたいながら、自分たちに都合の悪い意見に対しては「差別」というレッテルを貼って封殺するのである。

 山谷発言については、共同通信も21日、「トイレやスポーツの話を極端に単純化して発言しており、誤解を招く」という、トランスジェンダー当事者のコメントを紹介したが、トイレ使用やスポーツ競技で混乱を生じさせない支援方法があるなら、それを示しながら議論を深めればいいだけの話である。山谷氏の発言は、その努力がなされずに法案作りが拙速に進められていることへの危機感の表れとみるべきなのである。

◆恣意的に運用の恐れ

 自民党の特命委員会がまとめた原案は、LGBTに対する国民の理解を促進するため基本計画制定を政府に義務付けることが柱だが、保守派議員が特に警戒するのは法案の目的・基本理念に「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」という文言が盛られること。

 毎日の記事を見ても分かるように、現在でも「差別」のレッテル貼りが行われる構図が出来上がっているのに、法律が成立すれば、この文言が恣意(しい)的に運用され、当事者らの主張に反対すれば何でも「差別」とされてしまい、パートナーシップや同性婚の制度化にも反対できなくなってしまう。その危機意識から、特命委にブレーキをかける議員の方が良識的なのである。

(森田清策)

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