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日米首脳共同声明での同盟の深化と「台湾」明記を評価する読売など

◆普遍的価値観を共有

 「自由で開かれた国際秩序が中国の挑戦を受けている。日米同盟をより深化させ、民主主義の強靭(きょうじん)さを示していきたい」(読売18日付社説、以下各紙とも同日付)。

 菅義偉首相が16日午後(日本時間17日未明)、ホワイトハウスでバイデン米大統領と行った初の首脳会談後に発表された共同声明には、覇権主義的な動きを強める中国に対し「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことが明記された。日米首脳の合意文書に台湾が言及されるのは、日中国交正常化後では初めてである。

 菅首相はバイデン氏が大統領就任後、対面で会談する最初の外国首脳となった。会談の最大テーマだった対中抑止の焦点の一つが台湾である。

 日米首脳会談を論ずる各紙社論のポイントも「台湾」明記についてが柱である。

 その見出しは、本紙がずばり「中国の台湾侵攻を抑止せよ」、産経「『台湾』明記の意義は重い」に対して、読売と日経がそれぞれ「強固な同盟で平和と繁栄導け」、「日米同盟の深化で安定と発展を」と、民主主義や法の支配など普遍的価値観を同じくする日米同盟の強化で抑止力を高めることを求めるものである。これに対して朝日と毎日はそれぞれ「対中、主体的な戦略を」、「問われる日本の対中戦略」と、日本の中国への働き掛けを重視するもので、違いが際立つものとなったのである。

◆責任共有の覚悟求む

 前記4紙は、いずれも普遍的価値観の重視に立脚して、明確に共同声明の支持、評価を打ち出した。冒頭に加えて読売は「自由や民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する日米が結束して、国際社会からの信頼を高め、中国に覇権主義的な行動を改めるよう促していくことが重要だ」として日本に、米国と擦り合わせた対中戦略に「責任を共有する覚悟が必要」なことを説いた。

 日経も「(中国は)威圧的な行動で緊張を高めている。不測の事態に発展する恐れがあり、国際社会の懸念を真剣に受けとめ行動を改めるべきだ」と強調。日本には「米国からみれば尖閣と台湾は目と鼻の先であり、南シナ海まで含めたひと続きの問題だ。抑止力を高めるうえで、日本は応分の負担が避けて通れない」として、米国と入念に擦り合わせた日本の役割を「国民の理解を得ながら備えを固める」ことを求めたのである。

 共同声明が「対中国を念頭に『抑止の重要性』を確認し、同盟の一層の強化を約した。極めて妥当である」と評価する産経は、特に「『台湾海峡の平和と安定の重要性』を強調した」ことに意義を認めた。そして、日本の防衛力強化まで触れながら、その役割分担の具体策まで示していないことに言及し「台湾有事への対処や、米国が中国に対して優位を失っているミサイルの配備問題も視野に、日本は防衛力を充実させたい。敵基地攻撃力の導入決定も急務」だと、同盟の抑止力を高める行動を迫ったのである。

◆朝毎は対中協働強調

 共同声明は一方で「中国と協働する必要性」も指摘している。こちらを強調する主張を展開したのが朝日と毎日である。

 冒頭で「米国との緊密な連携は必要だが、対中戦略の一角を担うだけでは、日本の平和と安全を守りきることはできまい」と問い掛ける朝日は、日本は自ら「主体的な戦略を描いたうえで、米国をはじめとする関係国と協働し、対立をエスカレートさせないことを最優先に取り組む」ように求めた。日本の役割は「米中双方に自制を求め、武力紛争を回避するための外交努力にほかならない」と一見、もっともらしい主張だが、普遍的価値観を基本に据える米国と覇権主義的行動が目に余る中国を並列にして論じたり、両首脳の沖縄・辺野古移設の確認への異議をねじ込ませたりの主張の行間に、日米離間を意図する遠謀が潜むと感じるのは考えに角度を付け過ぎているのだろうか。

 一方、菅首相の中国へのアプローチが明確ではない、とする毎日は、首相に「中国が外交的、経済的に重要な国だというメッセージを送るべき」だと提案するが、どこかピントがずれているというほかない。

(堀本和博)

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