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遅れた緊急事態宣言を一斉批判する中、医療体制再構築訴えた日経など

◆政府と自治体の失政

 「感染抑制に軸足を移すことをためらい、場当たり的な対応で感染者を急拡大させた末の『切り札』である。菅首相は危機的状況を招いた政治責任を厳しく受け止め、今度こそ、国民のいのちと暮らしを守る責務を果たさねばならない」

 朝日(社説8日付、以下各紙同)が中国・武漢に始まる新型コロナ禍の拡大第3波への政府対応(緊急事態宣言の発令など)の遅れを痛烈に批判すると、産経(主張)も「遅きに失した再発令だが、この機に新型コロナを抑え込まなくてはならない」と、タイミングの遅れに言及する。

 さらに、産経は年末年始の1週間、入院先が決まらず自宅待機を強いられた感染者が都内でのべ3千人を超えた事態に「これらは、特措法改正が間に合わなかったことを含め政府と自治体の失政だ。(中略)菅首相や知事ら政治リーダーの発信力の弱さも深刻である。それゆえに今回の協力呼びかけが十分に浸透しない恐れはある」と危惧を露(あら)わにした。

 毎日も「遅すぎる発令で、この間の対策が後手に回った責任は重い。/宣言の対象を1都3県に限った判断には疑問が残る」と政府の責任ばかりか、その判断にまで疑問を差し挟む。

 読売は宣言よりも、具体的な対応の遅れを追及した。「冬場の感染拡大は予想されていた。いまだに十分な病床を確保できないのは、政府の対策が後手に回ったからにほかならない」と言う。各紙とも政府の宣言、対応に厳しい批判を示したのだ。

 菅義偉(よしひで)首相が7日に、新型コロナウイルスの感染状況が緊迫の度を増していることで、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づいて東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に緊急事態宣言を発令したことに対する新聞の評価は厳しい。宣言そのものに、ではなく、発令やウイルスの拡大を止める手だて対策が遅過ぎるというのだ。宣言は昨年春に続き2度目で、8日から2月7日までの期間は飲食店などへの営業時間の短縮要請の強化が柱となる。

 新聞の批判を意識したのか、政府は昨13日に宣言の対象区域に、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木7府県を追加して発令し、大都市を中心に迅速に感染防止策の強化を図ったのである。

◆現行法体系見直しも

 さて、宣言に際して新聞は厳しい批判を浴びせたが、有意義な提言も行っている。日経と読売はコロナ患者に対応する医療体制の再構築を急ぐよう求めた。コロナ患者の治療が一部病院に集中し、現場の疲弊を指摘する日経は「本来なら感染が落ち着いていた昨年6月ごろに即応態勢を整えておくべきだった。政府・自治体ともすべきことを怠ってきたと言わざるを得ない」と追及し、病院を機能的に分け、コロナ即応態勢の整備を求めた。「各都県は公立病院を持つのに、なぜ、知事が先頭に立ってコロナ治療を担う病院を整えないのか」と言うのだ。

 具体的には、重症患者の治療に専念する病院。その他のコロナ患者を引き受ける病院。無症状の人の宿泊施設――などと症状に応じて病院などを割り振って必要な医療を確保することを提案。「今からでも遅くない」が、それが「現行の法体系で難しいなら、国会の責任で改正を急がねばならない」と踏み込んで訴えた。社説は「感染第1波、2波で得た客観データと知見をフルに生かし、根拠に基づく透明性の高いコロナ対策を徹底させるときである」と結ぶ。具体的で建設的かつ有益な主張である。

 読売も「早急に病院間の連携を強化し、患者の受け入れ態勢を拡充」すること、「地域ごとに役割を分担し、逼迫している病院への医療従事者の派遣を進めるべき」だと訴えている。

◆カギ握る「行動変容」

 産経は同様に「医療提供体制の立て直しに全力を挙げるべきだ」とする一方で、宣言に明記されなかった首都圏との移動の抑制にも言及。「首都圏や大阪府、愛知県など大都市部とその他の地域との移動を抑えるべきだ」とも訴えた。今回は「日本全体の危機ととらえ、国民は協力してウイルスとの戦いを進めたい。人々の『行動変容』がカギ」を握るというのである。

(堀本和博)

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