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楽観論と悲観論が交錯、今年もコロナに振り回されると予測する各誌

◆経済回復遅れる恐れ

 昨年は新型コロナウイルスによる世界的流行(パンデミック)で始まったが、今なおその厄災は続く。そうした中で日本は安倍政権から菅政権に代わった。果たして2021年、日本と世界の政治・経済はどのような一年を迎えていくのであろうか。

 経済誌は毎年12月末に恒例の新年予測を特集する。週刊ダイヤモンド(12月26日・1月2日合併号)は「2021総予測」、週刊東洋経済(同)は、「2021大予測」と見出しを立て、経済分野に限らず、政治、文化、社会の分野からも新年を占った。

 一方、週刊エコノミストは2週にわたって、「日本経済総予測2021」(12月22日号)と、「世界経済総予測2021」(12月29日・1月5日号)と題し、経済分野に絞って特集を組んでいる。ちなみに、昨年12月30日の東京証券取引所の大納会で日経平均株価は2万7444円と年間で16%の上昇を見せ、今年も上昇する勢いを見せる。

 もっとも、経済誌は今年の日本経済について言えば、楽観論と悲観論が交錯する。

 その中で経済成長率を挙げると、ダイヤモンドは「コロナ禍で2020年の成長率はマイナス5%前後に沈む。21年も新型コロナウイルスの感染状況が成長率を左右する」とし、21年以降はプラス1・7%から4%という専門家の見方を紹介して、「GDP(国内総生産)がコロナ禍前の水準に回復するのは早くて22年後半、遅ければ24年となりそうだ」と分析。

 こうした論調は東洋経済も同じで、「20年度の落ち込みを21年度にすべて取り戻し、コロナ以前の19年度を上回るような数字にはならない」、さらに「民間住宅支出は大幅な落ち込みからほとんど回復せず、…企業の投資マインドは21年度も低調が続く」と悲観的な見方を示す。

◆株高は継続の可能性

 一方、株価について言えば、ダイヤモンドは「上昇を続けてきた株式市場は、21年度以降の企業業績のV字回復を織り込んでいるとの見方が多い」としながらも、「日経平均株価が3万円を目指すとの強気予想も台頭する2021年は投資家にとって一段高への期待と高値警戒感が交錯する難局となりそうなのは間違いない」と説明。

 これに対してエコノミストは、「マーケットは長期政権を期待」「菅政権の安定が確約されなければ、徐々に円高リスクが高まる恐れがある。日経平均の3万円超えは、春までに総選挙が行われ、現政権が選挙に勝っていることが前提だ」と語る大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストの分析を引用し、政府によるコロナ対策のための財政出動によって「向こう一年程度は株高、実力以上の経済成長は達成するということだ」と楽観論を説く。とにもかくにも21年も新型コロナに振り回される一年であるとは確実だと言える。

◆まさかのシナリオも

 そうした中、今回の経済誌の特集の中で目に留まったのが、東洋経済の「まさかのシナリオ」だ。一つ目の項目が、「コロナワクチンが期待外れに」というもの。「ワクチンへの期待は非常に高いだけに、副作用が深刻化して使用停止などの動きが出ると、経済活動が冷え込むだけでなく、各国でデモや暴動が頻繁化し、政治的に不安定化する危険もある」。

 この他にも、「中国が台湾武力統一に動く」「中国の参加でTPPが変質」「(東京五輪)中止・無観客なら重大な影響」など、起こる可能性が全くないとは言えない「まさかのシナリオ」だが、妙に説得力がある。

 昨年は子(ね)年で相場格言は「繁栄」であった。確かにコロナ禍でも株価は上昇していた。一方、今年(丑(うし)年)の相場格言は「つまづき」。丑年に起こった出来事を見ると、1973年のオイルショック、2009年には自民党から民主党政権誕生など、「つまづき」とも言える事件も多い。今年は米大統領就任、東京五輪開催や衆議院選挙などビッグイベントが並ぶが、これらの動向に注視することが求められる。

(湯朝 肇)

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