«
»

中国の核軍拡は容認し自由陣営に廃絶迫る朝日の「ヒバクシャの思想」

◆身を守る手段教えず

 広島で6日、長崎で9日に75回目の「原爆の日」を迎えた。時は過ぎゆき、コロナ禍の中での鎮魂の祈り。語り尽くせぬ被爆体験を後世にどう遺(のこ)すのか、各紙はそろって力の入った特集を組んでいた。

 でも不思議に思ったことがある。原爆、核攻撃からどう身を守るのか、そんな記事がどこにも見当たらなかった。欧米のみならず、海外では少なからず自国民にこんな教育をしているというのに。

 ――核爆発の光線(ピカ)は秒速30万キロで閃光(せんこう)盲目、熱風も同じ速度で火災・火傷をもたらす。爆風は空気の津波(ドン)で1回襲来する。こちらは音速(秒速340メートル)で、この被害が最も大きい。光を感じてから爆風が来る時間は、爆心から5キロ離れていれば約15秒後。その間に親指を両耳に突っ込み、手のひらで目を覆い、コンクリート壁などの安全スペースに身を潜める。皮膚は露出させないこと。耳と目、身を守れば、自らだけでなく他の人を助けることもできる――。

 以上は、日本安全保障・危機管理学会の二見宣理事長から教わった。核シェルター(防空壕(ごう))を設けるのも常識だ。中立国スウェーデンは首都ストックホルムをはじめ主要都市に全住民を収容できる核シェルターを設け、日ごろは地下駐車場や室内運動場として使っている。

 こうした核からの守りに比べて日本の能天気ぶりはどうだろう。身を守る手だても教えず、シェルターは皆無。廃絶さえ唱えていれば、核攻撃の惨禍から逃れられると思っているのだろうか。

◆原水禁の背後にソ連

 そんな疑問もどこ吹く風、朝日は「原爆投下から75年」と題する核廃絶“祈願”社説を5、6日付に上下で掲げた。下は「非人道を拒む連帯さらに」。いったい朝日はどんな連帯を唱えているのか。

 それは1955年の初の原水爆禁止世界大会、56年の日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)設立を起点として描き、「核兵器を絶対悪とし、国や地域を超えて非人道性の撲滅を訴える『ヒバクシャの思想』が、ここに芽を吹いた」と高揚気味に書く。

 が、知る人ぞ知る。原水禁大会を影で操っていたのは旧ソ連の工作組織「世界平和協議会」だ。自由陣営に反核を仕掛け、ソ連の核優位を狙う。だからソ連が核実験を行うと、日本共産党は「社会主義国の核実験は平和のため」と主張、中ソ対立を背景に原水禁運動は共産党系と社会党系に分裂。64年、東京五輪の最中に中国が初の核実験を強行したが、岩間正男・共産党参院議員(当時)はこう言い放った。

 「世界の四分の一の人口を持つ社会主義国の中国が核保有国になったことは、世界平和のために大きな力となっている。元来、社会主義国の核保有は帝国主義国のそれとは根本的にその性格を異にし、常に戦争に対する平和の力として大きく作用している」(同年10月30日、参院予算委員会=ウィキペディア参照)

 これが朝日の言う、芽が吹いた「ヒバクシャの思想」の正体だ。社説の上「核抑止依存から脱する時だ」は、米国のコロナ禍を嘲(あざ)笑うかのように核軍備支出を感染症対策に向ければ、「集中治療室30万床、人工呼吸器3万5千台、医師7万5千人と看護師15万人が確保できる」と、米国の核抑止力をそごうとする。

◆中国と主張同じ朝日

 そして「やがては中国を巻き込む軍縮体制づくりを急ぐ必要があるが、それには米ロが行動を始めなければ道は開けない」とする。つまり日本標的の中国の核軍拡は、今は容認だ。帝国主義国のそれとは根本的に性格を異にしているとでも言うのだろうか。

 朝日8日付の新戦略兵器削減条約(新START)をめぐる記事には、中国は「米ロが自国と同じレベルまで核軍縮を進めるのが先だ」と主張しているとある。何のことはない朝日の主張はこれである。まず自由陣営を丸裸にする。そんな「ヒバクシャの思想」の系譜を継いでいると考えてよさそうだ。

(増 記代司)

2

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。