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GAFA公聴会の論評で公正な競争へ「規制」の必要性強調した日経

◆民主主義社会に影響

 7月31日付読売「健全な競争確保へ説明尽くせ」、日経「公正な競争に欠かせない巨大IT規制」、8月4日付東京「民意に影響看過できぬ」――

 米議会下院の司法委員会が先月29日に「GAFA」と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの最高経営責任者(CEO)を呼んで開いた公聴会について、社説で論評した各紙の見出しである。

 もう少しあるかと思ったが、これまでのところ、以上の3紙のみ。内容では、見出しからも想像できるように、最も厳しかったのが東京である。

 東京は公聴会後のIT4社の4~6月期決算を踏まえた4日付だっただけに、余計に厳しさが出た感じである。

 GAFA4社のうちグーグルを除く3社は、米国の国内総生産(GDP)が記録的なマイナスとなる中、コロナ禍に後押しされた形で高収益を確保。「すでに十分すぎるほど成長しており独禁法を適用した規制導入は妥当といえるだろう」という具合である。

 「高収益だから独禁法による規制導入は妥当」とは、乱暴で論理的にも正しくはないが、GAFAの経営手法には米議会が公聴会を開くほど「独禁法に抵触しかねない」問題があったのは確かである。

 成長過程のライバル社を次々と買収して市場シェアを高めたり、事業参加者に優越的立場を利用した取引を押し付けたりしているのではないか、といった点である。

 東京が特に注目したのは、民主主義社会への影響である。会員制交流サイト(SNS)を通じて誤った情報が拡散するケースは各国で激増している。「IT企業の成長が社会の利便性と生活の質を高めている点は否定できない。だが、市場をゆがめ民主主義社会にまで影響を及ぼしているのなら看過できない」との指摘は尤(もっと)もである。

◆寡占の拡大に危機感

 意外だったのは、前述の見出しの通り、「規制」をはっきりと打ち出した日経である。冒頭の段落で、「各社はネット検索やスマートフォンなどデジタル経済の中核を担う市場で圧倒的な力を持つ。公正な競争の維持につながるルール整備に期待したい」と表明するのである。

 それというのも、「このまま野放図な拡大を許せば、一握りの企業の寡占がデジタル経済全体に広がりかねない」との危機感からで、有望なスタートアップが巨大IT企業に相次ぎ「青田買い」されることで、技術やサービスの進化の芽が摘まれるおそれもある、と危惧する。妥当な、日経らしい指摘である。

 日経は、1990年代に基本ソフトを寡占したマイクロソフトがその力を乱用して競合を排除したとして米司法省に提訴されたことを挙げ、「同様の行為があれば、規制当局が是正するのは当然だ」としたが、同紙としては踏み込んだ判断と言える。

◆独禁法での対応限界

 これら2紙と比べて、「説明尽くせ」の見出しの通り、歯切れの良さが今一つ感じられなかったのが読売である。

・取引先から集めている利用料や手数料は適正なのか。公正な競争環境は確保されているのか。徹底した検証が必要だ。

・新型コロナウイルスの感染拡大を受け、IT企業の存在感はさらに増している。責任の重さを自覚し、改革に取り組むべきだ。

 いずれも妥当な指摘であるが、力強さに欠けた感がするのは、2紙のような「規制」に言及せず、IT企業の自助努力にとどめているからか。

 ただ、読売は2紙にない問題点を指摘する。「急速に進むデジタル化に、現行の独禁法が対応しきれていない」ことである。

 かつて、石油大手のスタンダード・オイルや通信会社AT&Tに独禁法による分割命令が出た際は、市場独占で価格が不当に高くなる恐れがあったが、「GAFAのサービスには無料で提供されるものも多く、寡占による弊害が見えにくい」との指摘で、その通りである。

(床井明男)

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