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経済制裁下のイランが中国接近か、亡命イラン人サイトが協定暴露

◆低価格で原油販売へ

 亡命イラン人らが立ち上げたニュースサイト「イランワイア」が7月8日、「イラン・中国包括的パートナーシップ」という文書を公表した。イラン外務省が作成し、同サイトにリークされたものだ。

 文書に記された協力関係は25年と長期に及ぶもので、その間イランは中国に市場価格を下回る価格で原油を販売する一方で、中国から4000億㌦のインフラ投資を受け入れるとされている。

 中国は、鉄道や高速道路、空港の整備など大規模なインフラ整備を支援し、次世代通信「5G」の整備も支援するという。また協定では、原油・ガス部門への投資を受け入れるとともに、イランの港湾整備にも関与していくことがうたわれている。

 世界で巨大経済圏構想「一帯一路」を推進する中国が、新たな経済的、軍事的拠点とすることを狙ったものとみていいだろう。中国は、イラン周辺地域では、スリランカ、パキスタン、イスラエル、ジブチで港湾の整備に関わっており、イランも中国の経済圏構築に一役買うことになりそうだ。

 ニュースサイト「ニューアラブ」は、協定は「中国政府がこの地域内の他国、ジブチ、モロッコ、湾岸協力会議(GCC)諸国、トルコとの間で交わしたパートナーシップ協定と大きくは違わない可能性がある」と指摘した。

◆湾岸に中国軍拠点も

 さらに、合意には、大規模な軍事協力も盛り込まれている。気になるのはペルシャ湾の小島キーシュ島を中国に貸し出すことが合意されたという情報が出回っていることだ。

 ニュースサイト「ミドルイースト・アイ」はキーシュ島の貸し出しについて「このうわさは間違いの可能性があるが、ペルシャ湾岸の港に中国の軍事施設ができる可能性は否定できない」と、中国が湾岸に軍事拠点を獲得するのではないかとの見方を示した。

 同サイトは、合意には、投資プロジェクト保護の目的で、中国の治安要員最大5000人が派遣され「イランの政治的独立を大きく損ねる」と懸念、「中東ばかりか、中央アジア、コーカサスでも中国の影響力が増すのは間違いない」と指摘している。

 中国は既にアフリカ東部ジブチに海外初の軍事基地を建設しており、中国がペルシャ湾内に軍事拠点を設置する日は遠くないのかもしれない。

 イランはかつて、ラフサンジャニ政権下で欧州との関係改善に乗り出したことがあるが失敗しており、このところ「東への方向転換」を模索しているとみられている。

 米トランプ政権が2018年に核合意を離脱し、原油の輸出禁止など厳しい制裁をイランに科しており、ミドルイースト・アイは、これが、「イランの穏健派に、米政府はイランとの関係改善に関心がなく、イランの体制転換を望んでいると確信させた」と指摘している。

 ニューアラブによると、この合意がリークされるとイラン国内で「中国の野心に屈するもの」という反発の声が上がった。

 19世紀にロシアに領土の一部を割譲した不平等条約「トルコマンチャーイ条約」になぞらえて「植民地協定」という非難が上がり、保守強硬派のアハマディネジャド元大統領は、「国を不法占拠」させ「外国軍がイランに入るのを許す」ものだと激しく非難したという。

◆中露に活路を求める

 ニューアラブは、別の記事で「米国の圧力がイランを中国とロシアのもとに追いやった」と、米国の核合意離脱、「最大限の圧力」によって、イランが活路を求めて中露に接近していると主張した。

 「イランがロシア、中国との長期合意を検討していることは、外交政策の転換を示すものであり、米政府の政治的、経済的圧力に対抗する連合へと突き進んでいる」と同サイトは分析しており、中露の中東での影響力拡大にさらに拍車が掛かる可能性が高い。

(本田隆文)

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